96歳のおばあちゃんがメタルを歌う――ユーチューブでもミュージックビデオを公開するデスメタル歌手のインゲ・ギンズバーグさん(96)だ。
その「デスメタルおばあちゃん」が2018年7月18日にユーチューブで新曲を公開した。
ホロコーストの生存者だった
新曲のタイトルは「The Universe Echoes Back」だ。通常のバンド編成に加え、オーケストラが参加したことでサウンドの豪華さを演出している。
ギンズバーグさんも96歳とは思えぬ力ある歌声を披露し、メタルでお馴染みの手のジェスチャー「コルナ」も笑顔でしっかり決めている。
何故、96歳のおばあちゃんがデスメタルを歌っているのか。
ギンズバーグさんは1922年オーストリア・ウィーンの出身。ユーチューブに公開されている動画の詳細を見ると、彼女はナチス・ドイツにおけるホロコーストの生き残りなのだという。更に第二次世界大戦中はアメリカのスパイとして活動。武器の密輸まで行っていたそうだ。
その後、彼女は作曲家の男性と結婚し、「キング」の愛称で知られる米ジャズ・ピアニストのナット・キング・コールさんや映画「リオ・ブラボー」の出演で知られ、俳優や歌手として活躍したディーン・マーティンさんへの曲を提供していたという。
その後、作曲家の男性と離婚、結婚は3度経験している。
また、いくつかの著書があることから作家としての活動歴もある。
ここまでの経歴を見る限りとても、デスメタルと縁があるようはとても思えない人生だ。彼女とメタルの出会いはいつなのか。何と93歳の時であったという。
さらに、2014年から16年までユーロビジョン・ソング・コンテストに挑戦していた。結果はいずれも予選落ちだったようだが、チャレンジ精神は旺盛だ。
そして93歳の時からユーチューブに自身が歌う曲のミュージックビデオを公開している。
93歳から新たな道を歩み始めたギンズバーグさんの注目度は高く、18年7月17日に米ニューヨーク・タイムズのウェブ版が「デスメタルおばあちゃん」として取り上げ、ドキュメンタリー動画と共に紹介している。