首都圏の鉄道、バス、航空会社などが自社の運行情報や駅の構内図などをオープンデータとしてIT企業などに無償で公開し、混雑した東京都心をスムーズに移動できるスマートフォンの次世代アプリを開発してもらうことになった。2020年の東京五輪パラリンピックに向け、東京都心は混雑が予想される。国土交通省は公共交通機関のデータをIT企業などに活用してもらい、東京に不慣れな外国人はもちろん、障害者や高齢者も気軽に東京都内を移動できる専用アプリの開発が必要と判断した。
これまで東京都内のJRや地下鉄などの駅構内の地図は、グーグルなどのIT企業が読み取って活用できる汎用データとして公開されていなかった。このためGPSの電波が届かない地下鉄駅や地下街などはグーグルマップにも地図がない場合が多く、スマホの経路検索サービスを使っても乗り換え案内などがスムーズにいかなかった。
「運行情報」も提供
鉄道各社は駅の構内図を自社のウェブサイトなどで利用者向けに公表していても、各社によって様式が異なるため、IT企業などがコンピューターに読み取り、活用できなかった。鉄道各社が駅構内の地図や施設の位置情報などをコンピューターで読み取れるデータに加工するのはコストがかかるため、今回は国土交通省が鉄道各社から情報の提供を受け、一括してデータ化して公開する。実際にIT企業向けにデータを公開するのは18年9月下旬以降になるという。
駅構内や施設のデータを公開するのは、東京地下鉄、東京都交通局、JR東日本、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、西武鉄道、東京急行電鉄、東京臨海高速鉄道、東武鉄道、ゆりかもめの各社。東武鉄道とゆりかもめ以外は、列車がどの駅間を走行しているかを表す「在線情報」や、遅延の有無などの「運行情報」も提供する。
このほか、東京都交通局(都バス)、小田急バス、関東バス、京王電鉄バス、国際興業、JRバス関東、西武バス、東急バス、東武バス、西東京バスがバス停や、バスが現在どこを走っているかのデータを公開。日本航空、全日本空輸などもリアルタイムの空港の発着情報や遅延の有無などのデータを公表する。