退職代行を始めたきっかけは...
ところでなぜ、退職代行サービスを始めようと考えたのか。新野氏は「私自身もこれまでに3社を退職していまして、その度に実は...『本当に面倒くさいなあ』と感じてしまったんです」として、次のように話す。
「最初に辞めたのはソフトバンクという会社でしたが、退職が決まるまでに人事、課長、部長、統括部長、本部長との面談があって、かなりのエネルギーが必要だったんです。正直、『辞めるだけなのに、なんでこんなに大変なんだ!』と思いました。
また、同世代の社会人と話していても、『会社は辞められない』と勘違いをしている人が多いように感じます。退職は『裏切り』というイメージも未だにあるでしょう。だから、もっと退職を身近で手軽なものにできないかと考えて、このサービスを始めたんです」
こうした立ち上げの狙いを語ったうえで、新野氏は「もう1点、サービス開始後に強く感じていることがあります」と付け加える。退職の代行を利用する人に対して、「そんなことも自分で言えないのか」と否定的に感じる人もいるはずだとして、
「『そんなこと』すら言えない状況にしてしまっているのは、会社にも責任があります。部下と良好な関係を築くことは、上司の仕事ですよね。いわゆるブラック企業に入ってしまって、本人は辞めたいと悩んでいるのに、周囲の問題でそれができない。そういった若者を救うお手伝いができれば、とも考えているんですよ」
と話していた。
なお、「EXIT」がネット上で注目を集めたのは、サービスの利用者が18年7月上旬にツイッターへ体験談を投稿したことがきっかけ。一連の投稿が、「5万で全部やってくれるんなら確かに楽かも」「これ流行るんじゃない?」と大きな話題を集めたのだ。
こうした反響について岡崎氏は、「本当にSNSで話題になった影響は大きくて、今はほとんど一日中電話が鳴りやまないような状況です」と嬉しい悲鳴を上げていた。
この退職代行サービスを利用する際に、注意する点などはあるのか。
J-CASTニュースが、労働問題に詳しいアディーレ法律事務所の中西博亮弁護士に取材すると、「業者側の説明が全て事実だとすれば、違法である可能性は低いですが、気になった点は、(編注・EXIT公式サイト内の)『よくある質問』の中の『会社から訴えられませんか?』の部分です」。その上で、
「突然『今日辞めます』などと引き継ぎもなく辞めてしまい、会社側に損害が生じた場合、会社から損害賠償請求されることが絶対にないとは言い切れません。退職する従業員の従事する職務内容、会社に対する地位によってはいきなり退職することで会社に大きな損害が生じ、実際に損害賠償請求される可能性もあるので、その点は注意が必要です」
としていた。