ナオト・インティライミさんも、さぞかし困惑しているに違いない。
世界的サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドさんが、近く予定されていた来日を急遽キャンセルした。ユベントス移籍に伴う日程過密が原因だ。ところが、日本のネットの一部では、これにからめて歌手のナオト・インティライミさんを「イジる」動きが出ている。いったいなぜかといえば――。
「素晴らしい歓迎」を恐れたのか
「ナオトインティライミに恐れをなしたか」
「ナオト・インティライミから逃げるな」
「クリロナビクビクで草ァ!」
「ナオトとかいうクリロナを完封したDF」
2018年7月19日、ロナウドさんの来日中止が発表された直後、2ちゃんねる(5ちゃんねる)はこうした書き込みであふれた。
ポルトガル代表としてロシアW杯を戦ったロナウドさんはこの7月下旬、3年ぶり3度目となる来日が決まっていた。開発に携わったトレーニング器具「SIXPAD」のPRのためだ。
ところが発表からわずか8日後、この予定はすべて白紙に。実はほぼ同時期、ロナウドさんはこれまで所属したレアル・マドリード(スペイン)から、ユベントス(イタリア)への移籍を発表していた。その関係でスケジュール調整が難しくなり、やむなく日本行きを取りやめたというのだ。ロナウドさんは同時に発表されたコメントで、「つらい決断」「私のために、素晴らしい歓迎を用意していただいていると聞いていたので、なおさら残念」と述べ、早期の再来日を約束した。
これとナオト・インティライミさんと、何の関係が?
3年前のテレビ出演がトラウマ?
C・ロナウドさんが前回日本の地を踏んだのは3年前、2015年7月だ。SIXPADの宣伝も兼ね、数多くのテレビ番組に出演した。
物議をかもしたのは、フジテレビの音楽特番「水曜歌謡祭 2時間SP」に登場したときの一幕だ。「C・ロナウドに聴いてほしい日本の元気が出る曲」と題して、ロナウドさんを前にナオト・インティライミさん、そしてバンドのキマグレンが、それぞれ楽曲を披露した。世界的スターを前に、気合たっぷりに歌い上げたナオトさんだが――ロナウドさんは、困惑したような様子でステージを見守るばかり。
確かに当人にしてみれば、耳慣れない日本語で知らない曲を聞かされても、なかなか「元気が出る」とはいくまい。続くキマグレンにも、周りに合わせてタオルを振り回し「ノって」みせたものの、その表情は硬いままだ。視聴者からは「目が死んでる」といった声が相次ぎ、海外メディアからも、他の出演などと合わせて、
「日本はなんでクリティアーノ・ロナウドをヘンな目に遭わせ続けるの? ねえなんで?」(英デイリー・ミラー、ウェブ版)
などと揶揄された。
「また歌番組に放り込むぞって脅迫されたんやろ」
以来、日本のネット、特に2ちゃんねるでは、ナオトさんとキマグレンがロナウドさんの「天敵」というネタが定番に。奇しくも20日現在、ナオトさんの新曲「ハイビスカス」がちょうどオリコン週間チャートで3位に入るなどヒット中で、また25日にはフジの「FNS歌謡祭」が放送されることから、ナオトさんを「恐れて」ロナウドさんが日本行きを取りやめた――というネタが広まることとなった。上に挙げたもののほかにも......。
「また歌番組に放り込むぞって脅迫されたんやろ 許したれ」
「スペイン戦でのプレッシャーを乗り越え、レアルを出てユベントスに行くという重圧も乗り越えた男が唯一乗り越えられない物が日本にはある」
「こうなったらナオト・インティライミとキマグレンがイタリアに渡るしかない」
もっとも、ナオトさんにとってはとんだ風評被害である。少年時代には柏レイソルのジュニアユースに所属、音楽界きってのサッカー通だ。17日には香川真司選手とフットサルを楽しんだことを明かすなど、選手たちとの交流も深い。2015年の番組共演後も、「なんとも贅沢な時間」「光栄でありました」と、スーパースターとの対面に感激を露わにしていた。