政治系YouTuberとして最多級のチャンネル登録者を抱えるKAZUYAさんの動画チャンネル「KAZUYA Channel」が2018年7月18日、突然「BAN」(サイト運営側によって停止されること)された。「YouTubeのスパムポリシーに違反した」からだとの通知を受けたという。
ところが翌日、チャンネルは突如として「復活」。運営側の対応に、本人も「どういう判断基準なのか?」と戸惑いを隠せないようだ。
「ネトウヨ春のBAN祭り」の仕業か
KAZUYAさんは12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設。主に政治や時事問題、歴史に関連する動画を投稿してきた。チャンネル登録者数は政治系YouTuberとして最多級の約49万人にのぼる。著書も多い。
政治色としては「右」の部類に入る。朝日新聞の記事に論評を加える「サンデイブレイク」は人気コーナーの1つ。韓国や中国に関する動画も多い。保守系YouTuberとして、確固たる地位を築いている。
そんなKAZUYAさんのチャンネルが「BAN」されたのは、18年7月18日のことだ。KAZUYA ChannelのURLにとぶと、
「このアカウントは、スパム、詐欺、誤解を招くコンテンツに関するYouTubeポリシーやその他の利用規約に対する度重なる違反、または重大な違反のため停止されています」
と表示され、チャンネルを開けない状態になったのだ。
なぜ、アカウントは停止されたのか。SNSやインターネット掲示板で浮上したのは、「5ちゃんねる」の「なんでも実況ジュピター」、通称「なんJ」板で5月から続いている運動「ネトウヨ春のBAN祭り」との関連を疑う声だった。
YouTubeでは、コンテンツをめぐるトラブルを回避するルール「コミュニティガイドライン」を設けていて、視聴者は違反すると思われるコンテンツを「通報」できる。なんJ板で、「ネトウヨ」とされた動画を配信するチャンネルのコンテンツを通報するよう呼びかけ、集団でBANに追い込む――これが「祭り」の狙いだ。実際に複数のチャンネルが、すでにBANされている。
YouTubeのスタッフは通報を受け、ガイドラインに違反した動画を削除すると、アカウントの当事者に警告。仮に3か月でこの警告を3度受けた場合、アカウントは停止されることになっている。
「スパムポリシーに違反した」
「やられましたよ。春くらいから僕のチャンネルをつぶそうという人たちが『通報』しまくっていたようなんですが。ついにきましたね」
こうした事態を想定して、「避難用」のチャンネルアカウントを持っていたKAZUYAさん。18日夕に公開した動画で、真っ先にそんな言葉を口にした。
KAZUYAさんによると、BANの原因は17日公開の「サンデイブレイク」の動画だ。「理由としては、スパム、欺瞞行為、詐欺の禁止に抵触するらしいです」として、YouTubeの運営側から以下のようなメールが来たことを明かした。
「YouTubeは、スパムをなくすために絶え間ない努力を続けております。不特定多数に向けた動画、不要な動画、または繰り返し部分の多い動画を大量に投稿しないでください。また、コンテンツの主な目的が人々をYouTubeから別のサイトへ誘導しようとするものである場合、そのコンテンツはYouTubeのスパムポリシーに違反すると見なされます」
KAZUYAさんは「たしかに僕は、URLを貼っていました。ただ、これが主目的で...ていう動画ではない」と指摘。「もし他のサイトへの誘導でアウトになったっていうなら、ほぼすべてのYouTuber生きていけません」として、
「でも消されない!一方で、僕のものは消されてしまいました。なぜだろう」
と疑問を呈した。
さらには「普通3回違反したらチャンネルがBANになるんです。ただ僕ね、3回目じゃないんだよ」と、YouTubeの「BAN」条件にあたらないことを主張。「ある勢力からしたら目障りなんだろうね。結局ヘイトかどうこうとか関係なく消されてしまいました」としたうえ、
「異議申し立てをしましたが、どうなるのか分かりません。暫定で今後、こちらのチャンネルで動画をアップしていきます」
と説明した。
KAZUYA Channel「BAN」の理由とは――。YouTubeを運営するグーグル日本法人に取材したが、広報部は
「当社では個別の動画やそれらに関しての対応についてはお話ししておりません」
と回答するのみだった。
「経緯が不可解」な復活劇
その後、事態はさらに驚きの展開を迎えた。何とKAZUYA Channelが19日、BANを解除され「復活」したのだ。
KAZUYAさんは15時半ごろ、ツイッターで「あれ?チャンネル復活した?」と投稿。「復活しましたが、処理の関係か公開しているはずの動画も表示されていません。時間が経てば少しずつ戻ると思います」と説明した。
また、「YouTubeから送られてきた」メールのスクリーンショットを掲載。そこには、こう書いてある。
「調査の結果、お使いのYouTubeアカウントが利用規約に違反していないことを確認できました。この結果を受け、お使いのアカウントの停止を解除いたしました」
KAZUYAさんは「逆になんで一度違反していると取られたのかが気になる。どういう判断基準なのか?」と疑問視。「今回のチャンネルBANから復活劇は経緯が不可解です」と訴えていた。
復活を受けて、グーグル日本法人の広報部に再び取材依頼したところ、
「個別の動画に関しての対応はしておりませんと、既にメールしているとおりです」
との一点張りだった。