「中曽根-レーガン会談」演出
その後は海外にも活動の場を広げ、ミラノ・スカラ座の「蝶々夫人」をはじめ、「エレクトラ」「トゥーランドット」などオペラの演出も手掛けた。中曽根康弘首相のブレーンとしても知られ、有名な日の出山荘の「中曽根-レーガン会談」なども演出した。長野冬季オリンピックでは開閉会式をプロデュース、国際的に脚光を浴びた。
翻訳物だけでなく、オリジナルミュージカルにも力を入れ、「夢から醒めた夢」「ユタと不思議な仲間たち」などを創作。とりわけ「昭和の歴史三部作」と呼ばれた「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」の3作品は、世代を超えて語り継がねばならない戦争の悲劇と、昭和の実相を描いた作品として社会的にも話題になり、ミュージカルとはなじみが薄かった中高年層にも受け入れられて再演を続けた。「李香蘭」は中国公演でも高く評価された。
2014年、代表を務めていた劇団四季(四季株式会社)を退き、浅利演出事務所を設立。15年4月に第1弾となる「オンディーヌ」を、その後も年4本ペースで公演していた。盟友、日下武史さんは17年5月に亡くなったが、同9月には日下さんをしのび、日下さんの最後の舞台となった「思い出を売る男」(加藤道夫作)の追悼公演をした。
紀伊国屋演劇賞、菊池寛賞、読売演劇大賞などを受賞。劇団四季はホームページで「演劇界に真の意味でのプロフェッショナリズムを確立し、数多くの俳優、スタッフを発掘、育成した成果は、日本の劇場文化を大きく発展させました。劇団四季のメンバーにとっても、常に精神的支柱であり続けました」と偲んでいる。