他国への激しい批判を繰り返す北朝鮮メディアで、内閣や朝鮮労働党の地方組織といった「身内」への批判が展開されている。2018年7月17日朝、朝鮮中央通信など国営メデイアは、金正恩・朝鮮労働党委員長の「現地指導」に関する記事を8本もいっせいに配信。
そのうち4本で、正恩氏の不満が報じられている。その多くが劣悪な衛生状態や工期の遅れを指摘する内容で、内閣メンバーの怠慢ぶりには、不満を「激して述べた」ほどだ。
建設現場には足運ばず、竣工式には欠かさず顔を出す
現地指導の時期は記事中では明らかにされていないが、記事中に出てくる地名からすると、その多くが北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)内の視察だとみられる。
最も激怒したとみられるのが、漁郎川(オランチョン)発電所の建設現場の視察だ。内閣の幹部について
「道にだけ放任しておいて全く関心を払っていない」
などと叱責し、
「特にけしからんのは、国の経済に責任を持った活動家(編注:内閣の幹部)たちが発電所の建設場やダムの建設場には一度も出向いていないのに、どこかの発電所が完工したとすれば竣工式の時には欠かさず顔を出す、ぬけぬけとした行動であると激して述べた」
と怒りをぶちまけたという。
朝鮮労働党の地方組織にも矛先は向けられている。清津(チョンジン)かばん工場訪問の記事では、咸鏡北道の党委員会が、党が重視している次代教育事業を疎かにし、かばん工場を新たに建設すべきだという党の方針を受け入れずに、再生繊維工場の建物にある粗末な部屋を空けてかばん生産拠点を汚く設けた、などとして
「地方のかばん生産実態を調べるために訪れた最高指導者に大きな心配をかけた」
と、指摘。さらに正恩氏は、
「清津かばん工場を建設した時から1年半になるまでデザイン室も設けず、製品陳列室も汚いまま放っているのを見れば確かに道党委員会の活動に問題があると深刻に批判した」
という。