RR社製の方が「欧米など長距離ではなく、アジアなど中距離の飛行に適していた」
では、なぜANAはRR社のエンジンを選んだのか。導入が発表された04年10月の発表資料では、その理由を
「安全性・信頼性はもとより、騒音・排ガス等の環境問題への対応、当社運航環境における運航性能、燃料効率等の経済性の面で、高い水準を有している」
などと説明している。当時の報道では、その背景も伝えている。04年11月2日付の日経産業新聞によると、RR社幹部は
「トレントエンジンはシリーズ化されており、7E7(編注:787の当時の呼称)用に新しく開発したGE製に比べてかなり抑えられているはずだ」
などと価格面での優位性をアピールしたといい、「国内エンジンメーカー幹部」の
「欧米など長距離ではなく、アジアなど中距離の飛行に適していた」
という声を伝えている。
実際、ANAが12年、最初に定期便に787型機を投入したのは羽田-北京線で、国内線にも相次いで導入した。一方でJALが最初に787を投入したのは成田-ボストン線。長距離路線が中心で、現時点では国際線のみで運航している(19年に国内線に導入予定)。運航形態の違いがエンジン選びに影響したとみられ、それが今回の明暗を分けた。