一筋縄ではいかない、「科学的根拠」を巡る議論
漁港にある市場の2017年の全国平均価格は1キロ当たり277円と前年より3割上昇した。サンマは春に公海で成長し、夏から秋に産卵のため日本近海に回遊する性質がある。日本の漁業関係者の間では「中国や台湾の漁船が公海で捕獲する影響で、日本沿岸に来なくなった」との不満が広がる。
NPFC での規制論議は1年後に向け、仕切り直しになる。NPFCの科学委員会がサンマの資源量評価を2019年3月に実施することになっており、日本はこれを踏まえ、同年7月の年次会合で改めて漁獲枠の導入を目指すことになる。科学的な根拠を踏まえて他国を巻き込み、中国を説得しようという作戦だ。
ただ、日本の漁獲量減の背景には、近海の一部で海水温が上昇し、低い水温を好むサンマが東方の公海上に移ったためとの指摘もある。日本のサンマ漁船はせいぜい100トン程度と、遠くまでなかなか行けない中小型船が多く、行けても、以前なら半日かそこらで帰港できたのが、漁場に着くまでに1日以上かかるようになって操業回数が減り、水揚げ量を押し下げた可能性があるということだ。
こうした点も含め、「科学的根拠」を巡る議論は一筋縄ではいかないだけに、日本のシナリオ通りに事が運ぶかは予断を許さない。