衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが2018年7月3日、同社のプライベートブランド(PB)である「ZOZO」初のフォーマル商品としてメンズのビジネススーツとドレスシャツのセット販売を始めた。
採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」 で計測した体型データをもとに作り上げる完全オーダーメイドで、一人1セット限定のお試し価格は2万4800円(税込み)。前澤友作社長が20年前に創業し、快進撃を続けてきた同社が、さらなる成長を遂げられるのか。このスーツの出来映えにかかっているといえそうだ。
スマホカメラで読み取り採寸
最大の特徴は、最新の技術を用いて自宅にいながら採寸し、個々の体型に合わせたスーツを注文できること。無料配布される「ゾゾスーツ」を着て、スーツ上の印をスマートフォンのカメラで読み取ることで、正確にサイズを計測できるという。通常は注文から最短1~2週間で配送されるが、初回は8月上旬になる見込みだ。これまでTシャツやジーンズなどで活用してきたが、フォーマル商品にも広げる。
ゾゾスーツはこれが2代目だ。初代は2017年11月に発表したが、構造が複雑で大量生産が難しかった。欠点を解消しようと、年が明けて2月、匿名の研究者3人のグループから低コストで高精度な体型計測が可能となるアイデアを3億円で買い取り、このアイデアを基にした改良版を4月に発表した。これで、年間最大1000万着の無料配布が可能になった。
同社は1998年、前澤氏が輸入CD・レコードの通信販売を目的に設立。2000年にアパレルに進出し、インターネット上のセレクトショップを開業。04年にゾゾタウンの運営を始めた。07年に東証マザーズに上場して知名度を上げ、12年に東証1部上場を果たした。7月中旬の時価総額は1兆4000億円台で、LINEや楽天を2000億~3000億円程度上回っている。07年の株式公開時の実に約45倍だ。前澤氏は私生活でも女優と交際するなど、話題を振りまいている。
カギを握る海外のPB展開
目標は「ぴったりサイズの服がない」といった「サイズの問題」を「世界レベル」で解決すること。10年後はオンラインSPA(製造小売り)ナンバー1、グローバルアパレル企業トップ10、時価総額5兆円を目指している。PBの本格展開を始めた2018年を「第2の創業期」と位置づけ、この10月には社名をスタートトゥデイから、より知名度のあるZOZOに変更する。
カギを握るのが、海外のPB展開だ。まずはPB「ZOZO」を知ってもらうため、ゾゾスーツとデニム、Tシャツを世界72か国・地域で10万人に無料で届けるキャンペーンを実施中。同社が4月に発表した中期経営計画によると、2018年3月期に2705億円だった商品取扱高を、19年3月期に3600億円、21年3月期には7150億円に拡大させる。そのうちPB事業の売上高は19年3月期の200億円(うち海外20億円)、21年3月期は2000億円(海外800億円)を目指す。
もちろん、今回発売したビジネススーツの出来が悪いようだと、成長軌道も絵に描いた餅になりかねない。8月以降、商品を手にする顧客の反応が注目される。