香港から中国・大連に向かっていた中国国際航空機で、突然機内の気圧が低下して10分強で7000メートルも急降下するトラブルがあった。
その原因は、パイロットの電子タバコ。パイロットが操縦室の煙が客室に漏れないように空調を操作したところ、間違って客室の空調ユニットを操作してしまったという、実にお粗末なものだった。
13分で7000メートル降下
問題が起きたのは、2018年7月10日に運航されたCA106便(ボーイング737-800型機)。航空機の位置を表示するウェブサイト「フライトレーダー24」によると、19時10分(現地時間、日本時間20時10分)に香港を離陸して上昇を続け、同37分に3万5000フィート(約1万700メートル)に達したところで急降下。同50分には1万フィート(約3000メートル)にまで降下し、その後は再上昇して20時7分には2万4600フィート(7500メートル)にまで高度を回復。22時30分過ぎに目的地の大連に到着し、乗員乗客161人にけがはなかった。
この直後から中国版のツイッターにあたる微博(ウェイボー、Weibo)には、酸素マスクを装着する乗客の写真が相次いで投稿され、人為的ミスが原因だとの見方が相次いでいた。実際、その原因はきわめてお粗末なものだったようだ。
人民日報のウェブサイト、人民網が報じたところによると、中国民間航空局の担当者は7月13日に開いた記者会見で、副操縦士が電子タバコを吸っていたことが予備調査で明らかになったと説明。副操縦士は、電子タバコの煙が客室に流入するのを防ぐために、機長に知らせることなく空調を操作。本来ならば操縦室の循環ファンを操作するはずが、誤って客室の空調ユニットを操作してしまい、客室の気圧が下がって警報が出た、というわけだ。
機内の気圧が下がると意識失わないように急降下する
機内の気圧が下がると酸素が不足して乗員乗客は意識を失う危険があるため、酸素マスクをつけて気圧が高くなる高度まで急降下する必要がある。急降下後に乗務員が誤操作に気づき、空調を復活させて再上昇した。
調査は継続中で、中国民間航空局では調査結果を踏まえて処分などを検討する。
中国国際航空は11日、微博の公式アカウントで
「乗務員は民間航空局の関連部門から調査を受けている。調査で規則違反が明らかになった場合は、会社として厳しく対処する」
などとコメントを出している。