サッカーJ2・横浜FCのサポーターが、西日本豪雨の被災者への黙祷中にチャントと呼ばれる応援歌を歌い続ける事態が起きた。2018年7月11日に行われた対横浜F・マリノス戦の試合前でのことだ。
この日、観客としてスタジアムを訪れていた元サッカー選手の丸山龍也さん(26)はJ-CASTニュースの取材に、1分ほどの黙祷の間、横浜FCのゴール裏からはずっとチャントが鳴り響いていたと説明。「本当に品がないと思います」と厳しく批判した。
「100人ほどのサポーターが歌っていた」
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜市)で行われた天皇杯全日本選手権3回戦。今回の騒動は、同じホームをもつ両軍が激突する「横浜ダービー」と呼ばれる伝統の一戦で起きた。
この試合前には、西日本を襲った豪雨の被災者への黙祷が捧げられた。サンケイスポーツは11日夜の電子版記事で、
「ニッパツ三ツ沢球技場では、横浜FCの三浦知良選手らが神妙な面持ちで黙とうし、場内は静寂に包まれた」
と伝えていたが、この報道は現地の状況とはかけ離れていた。
黙祷の最中、ゴール裏に陣取った横浜FCサポーターの一部が、チャントを歌うことを止めなかったのだ。さらには、「If you love Fulie Stand up(フリエを愛しているなら立ち上がれ)」と書かれた横断幕まで掲げていた。フリエは横浜FCの愛称だ。
実際、スタジアムに居た観客からは、「黙祷なのにチャント止めない。止められない?恥ずかしい」「黙祷って意味がわからないの?」などの報告が相次いでいた。黙祷が終わると、黙祷をしていたマリノスサポーターからは大ブーイングが起きたという。
リトアニアリーグなど国内外のクラブで活躍した丸山さんも、現場を目撃した1人だ。12日の取材に対し、当時の状況について「(ゴール裏)中心グループ周りの100人ほどのサポーターが歌っていた」と振り返る。その上で、
「基本的にはずっと応援を続けていました。静まったあとも、中心グループ内から『やろうぜ!!』『いこうぜ!』的な、グループを盛り上げるような声も聞こえていました」
とも振り返っていた。ただ、ゴール裏の一部以外の横浜FCサポーターは、応援には参加せず黙祷をしていたという。