お笑いコンビ「千鳥」のノブさん(38)が、西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市への支援をツイッターで呼び掛けたことが、結果として逆に現地の混乱を招いてしまう騒動があった。
支援物資を受け付けていない店舗を、誤って「受け入れ先」だと紹介してしまったのだ。実際のところ、ノブさんの呼びかけは被災地にどんな影響を与えたのか。J-CASTニュースが取材した。
投稿は9000回以上リツイート
ノブさんは岡山県出身。今回の豪雨災害では、ツイッターで各地の被害状況や支援情報を伝える投稿を数多く発信していた。思わぬトラブルを招いてしまったのは、現地への支援物資を呼びかけた2018年7月8日朝のツイートだ。
倉敷市内のあるセブン‐イレブン店舗で、同日10~13時の間で支援物資の受け入れを行うと伝えた一般ユーザーの投稿を引用しながら、
「倉敷の支援物資受け入れ先です!」
と伝えたのだ。この投稿は9000回以上リツイート(11日朝時点)されるなど、ネット上で大きな注目を集めた。
発端となった一般ユーザーは「千鳥ファンの多くの方に届いてほしいです」として、上記の情報をノブさんにリプライ(返信)で伝えていた。どうやら、ノブさんは地元に住むファンから寄せられた切実な訴えを目にして、善意で拡散に協力したようだ。
だが、支援物資の受け入れ先とされたセブン店舗は、こうした情報を把握していなかった。つまり、発端となったツイートを投稿したユーザーは、店に許可を取らないまま呼びかけを進めていたというのだ。
そのため、突然物資の受け入れ先とされた店舗側は、予想外の事態に困惑。現地でちょっとした混乱を招くことになったのだ。
「ゴミを店先に放置しないで」との苦情が
支援の呼びかけがあった8日に出勤していたという店の従業員は、12日午後のJ-CASTニュースの取材に対し、当時の状況について、
「朝から問い合わせの電話が相次いだので、本当に驚きました。すぐオーナーに確認しましたが、『全く聞いていない』と。そうこうしているうちに、どんどんと荷物が店先に積み上げられていったんです」
と振り返った。
集まった物資は相当な量だったらしく、従業員は「本当に山のような状況でした」と説明。事情を知らない自治体から「ゴミを店先に放置しないでください」との苦情が入る程だったという。
ただ、当日は拡散された情報を知っていたボランティアが店を訪れていた。従業員によれば、店に駆け付けたオーナーが場所を貸すことを了承し、ボランティアがトラックに物資を積み込んで回収していったという。
この日以降も同様の状況は続いていたようで、店の従業員だというツイッターユーザーは11日になって、
「救援物資の受付をしていません。店外に放置されても対応できません。食べ物が入っている物があるようですが、カラスが荒らすので絶対にやめてください。迷惑です」
と改めて注意喚起。物資が集中した8日の状況についても、「いきなり始められて、どんどん集められたため、追い返す訳にもいかず、場所を提供せざるをえなかった」などと振り返っていた。
ノブさんは謝罪「申し訳ありませんでした」
こうした事態を受けて、ノブさんは11日深夜のツイッターで、
「岡山県のコンビニの物資受付ツイートは地元の方の急遽の選択でのコンビニの許可なしの拡散でした。確認せずのリツイートしてしまい申し訳ありませんでした」
と謝罪。あわせて、自らが支援を呼びかけていた投稿を削除した。
その上で、「コンビニの方とも先ほど連絡が取れ、集まった物資は避難所、手分けした各所に送られたようです」とも報告。続けて、「コンビニの皆様ありがとうございました」と感謝を述べていた。
発端となった呼びかけをしたユーザーはアカウントを削除。また、物資の持ち込みを止めるようツイッターで注意を呼びかけた従業員も、「ノブさんから、謝罪していただき、事態も収束した」と報告していた。
なお、倉敷市では8日から個人の支援物資の受け付けを休止している。実際、市広報担当者は12日の取材に、
「現在も受け付けは休止しています。まだ、送って頂いた物資の仕分け作業に追われている状況ですので。コンビニに物資を集めるという話も、こちらでは一切把握していませんでした」
と話した。