高島屋、上昇気流に乗りきれない理由 訪日客の消費は好調だが...

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   高島屋の株価が足元の業績を反映して一時、急伸した。しかし高値は長続きせず、年初来安値近辺まで下がり、方向感を欠いている。訪日外国人や富裕層の需要をつかんでいるものの、年度後半のコスト増への警戒感などが上昇気流に乗りきれない要因となっている。

   高島屋が2018年6月25日に発表した3~5月期連結決算は上々の結果だった。売上高にあたる営業収益は前年同期比1.9%増の2198億円、営業利益は5.7%増の85億円、経常利益は14.7%増の99億円、純利益は13.4%増の58億円と文句なしの増収増益。SMBC日興証券は26日に配信したリポートで営業利益について「上期(3~8月)計画の120億円に対し71%の進捗率の一方、前年同期は上期実績に対し58%」と指摘し、「ポジティブ」と評価した。

  • 9月に日本橋店に隣接する新館を開業
    9月に日本橋店に隣接する新館を開業
  • 9月に日本橋店に隣接する新館を開業

年度後半にかけてコスト増

   内容を見ると訪日外国人による消費が2割増となったことで、訪日客に人気の大阪店、京都店の売り上げが大幅に増加した。大阪ミナミで存在感を誇る大阪店は今や、高島屋の国内店でトップの売り上げをたたき出している。2018年3~5月期の売上高は前年同期比6.1%増の360億円となり、2位の横浜店(319億円)、3位の日本橋店(東京、315億円)を引き離している。京都店は5.3%増の217億円と、全体の売上高の伸び率を上回る。全社的に外商の対象となる富裕層の宝飾品など高額商品への購買意欲が強いことも売り上げ、利益を伸ばした。

   株式市場は業績改善を素直に好感し、26日の株価は当日の安値が前日の高値を上回る「窓をあける」急伸となった。一時、前日終値比6.6%(61円)高の987円まで上昇し、2か月半ぶりの高値となった。

   ただ、今回の高島屋株の急伸には勢いが欠けていた。27日の終値は前日比1.7%(16円)高の959円となったが、その後は一進一退を続けながら水準を切り下げ、7月3日には一時、904円と5月30日につけた年初来安値(894円)を意識させるところまで下落した。相場全体が下げ基調にあることが影響している可能性はあるが、高島屋にも不安要因はある。年度後半にかけてコストが増えることだ。

9月に日本橋店に隣接する新館を開業

   9月25日には日本橋店に隣接する新館を開業し、110以上の専門店を誘致する。久々の大型店舗は収益増を期待できるが、開業に向けて投資費用がかさむのは避けられない。また、訪日客を含めたさまざまな決済手段に対応すべく、POS(販売時点情報管理)端末を刷新する予定で、こちらも相当な費用がかかるとみられている。2018年3~5月期の業績が良かったにもかかわらず業績予想を据え置いたことで、これらのコストへの投資家の警戒感を高めたと見る向きもある。

   とはいえ、世界の貿易戦争の嵐とは直接かかわらない有力な内需株だけに、夏のセールの動向など、投資家の物色意欲をかき立てる材料があれば、上値を追う展開となる可能性は十分にある。

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