被災地ボランティアを襲った「デマ」 復旧作業に尽力も「泥棒」と決めつけられ...

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   「せっかく助けに行ったのに、こんなことになるなんて...」。J-CASTニュースの2018年7月11日の取材に、落胆の色を隠さずこう語ったのは、豪雨被害を受けた広島・熊野町でいち早く復旧作業に加わった男性(23)だ。

   善意で現地を訪れていた男性は、ネット上での「デマ」の被害に遭った。ツイッターなどに、この男性や友人を「泥棒」だと決めつけ、乗っていた車種やナンバーを晒すユーザーが現れたのだ。

  • 土砂崩れの被害を受けた広島・熊野町の様子(18年7月7日、提供写真)
    土砂崩れの被害を受けた広島・熊野町の様子(18年7月7日、提供写真)
  • 土砂は屋根の辺りまで及んだ(18年7月7日、提供写真)
    土砂は屋根の辺りまで及んだ(18年7月7日、提供写真)
  • 土砂崩れの被害を受けた広島・熊野町の様子(18年7月7日、提供写真)
  • 土砂は屋根の辺りまで及んだ(18年7月7日、提供写真)

「完全に泥棒です。拡散して下さい」

   男性は熊野出身で、現在は広島・呉(くれ)市に住んでいる。地元が豪雨の影響で土砂崩れの被害を受けたことを知り、雨がおさまった7日午前にいち早く熊野へ駆けつけた。地元に住む兄や友人と共に復旧作業を手伝おうと考えたのだ。

   だが、現場の状況は想像以上だった。男性は取材に、

「グシャグシャでした。スコップ1本を持っていったのですが、正直『これじゃあ何もできない』と思いました。まだ、自衛隊も消防団も入っていなかったですし...」

と振り返る。

   このとき男性らは、避難所から自宅の様子を見るために戻ってきた住人たちを手伝った。具体的には、住人の荷物を泥だらけになった家の中から回収する作業に協力していたという。なかには、「結婚指輪を探して欲しい」と頼み込んでくる人もいたそうだ。

   その後、男性は9日にも、飲料水などの支援物資を熊野へと届けた。その後、同日の昼前には被害が大きかった地区へ復旧作業の手伝いに向かったが、消防団から「危険だ」として参加を止められたという。

   ネット上で「デマ」が広まり始めたのは、そのわずか数時間後だった。男性の車のナンバー、車種などの個人情報を明記した上で、

「完全に泥棒です。拡散して下さい」

などと訴えるツイートが出たのだ。11日現在でも、同様の投稿が複数件残っていることが確認できる。

「地元だから助けに行ったのに」

   男性とその兄がデマの存在に気付いた際には、すでに「もうかなりの投稿があって、出所は分からない状況でした」。その上で、全く心当たりのない偽情報が「事実」のような形で出回っていたことについては、

「もう、最初は苛立ちしかありませんでした。地元の人たちも、ツイッターで僕らのことを『泥棒』『窃盗団』とか言っていたんです。地元だから助けに行ったのに、こんな形で返されるなんて。ショックというか、腹が立って仕方がなかったです」

と振り返る。また、男性や友人らはどちらかというと「やんちゃ」な見た目をしているとした上で、

「外見だけで判断されたと思って、傷つきました。確かに、あまりいい印象を持たれない見た目だとは理解していましたけど...。せっかく、地元のために動いたのに」

とも話した。

   実際、男性の兄も今回のデマについてツイッターで、

「あんなこと言われて作業する気になれませんでした。気持ちで動きよるのに、仇で返されるとはねぇ、神様もひどいわ」

と、やりきれない気持ちを明かしていた。

デマ否定の友人に「救われた」

   ただ、男性らを救った存在もあった。彼らが復旧作業に尽力していたことを知っていた友人らが、ツイッターで拡散した情報は「デマ」だと注意を呼び掛けたのだ。実際、こうした注意喚起でデマに気付き、拡散した情報を訂正するユーザーの姿も目立っていた。

   こうした友人らの助けについて男性は、

「救われました。あんなデマが出て、最初は本当にショックで頭にきていたんですけど、周りの友人たちが必死に否定してくれた。そのおかげで、今はもう気持ちが落ち着いています」

と話していた。

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