山里亮太さん(南海キャンディーズ)
2018年7月6日、山里亮太さん(南海キャンディーズ)の自伝エッセイ『天才はあきらめた』(朝日新聞出版)が発売になりました。
2006年に発売された『天才になりたい』を本人が全ページにわたり徹底的に大改稿、新しいエピソードを加筆した大作です。天才をあきらめたときから地獄のような努力をする山里さん。嫉妬やねたみ、くやしさを"ガソリン"にして前向きに生きるためのコツが詰まっています。
山里さんといえば、今年5月から、J-CASTニュース名誉編集長も務めていただいていて、今回の本は編集部員にとっても興味津々。部員に質問を募ったところ、たくさんの「聞きたいこと」が出てきました。
そこで、部員から集めた20の質問を元に、名誉編集長の元へ。本のこと、お笑いのこと、いろいろ聞いてきました。
最後には、山里さん直筆サイン入り『天才はあきらめた』の読者プレゼントのお知らせもあります!
食べた記憶のないピザの空き箱が増えていった
――まずは『天才はあきらめた』出版おめでとうございます。本で書かれているお笑いに対して真摯に悩み、もがく姿は誰もが感じる「普通」の悩みで、共感できるところが多かったです。
これはお笑い芸人の話というよりも、いろんな人たちに当てはまるようなもの、たとえば、人間として生きていくうえでの悩みとか嫉妬とか、自分は何者でもないという、どうにもできないような普遍的な悩み、そういった「ハード」に芸人という「ソフト」を差し込んでいるだけなんです。
だから、皆さんが持っているそれぞれのソフト(環境)を当てはめて、読んでくれたらありがたいですね。
――悩むといえば、本のプロローグにも出てきた、食べた記憶のないデリバリーのピザの空き箱が目の前にあった、というくだり。「ご飯を食べているときは仕事のことを考えなくていい」というルールを作ったために、無意識のうちにピザを頼んで食べる、そんな時間が増えていったという話が印象的です。
悩んでいるということで、その時間をサボっている訳ではないという言い訳にしていたんです。改善や努力とか、もっとカロリーがかかる作業から逃げていて、「絶望という作業」をしている、って感じですね。
あの時もっと気持ちを切り替えてやっていれば、迷惑をかける人も少なかったんじゃないかとは思います。
――そんな苦悩からの"立ち直り方"もたくさん書かれていますね。
頭の中で「頑張んなきゃいけないなー」って思うよりも、一度それを「文字」にして叩きこんだ方が体に染みると思うんですよね。あと、その作業をすると「逃げてない」感じがするんですよ。
自分が逃げたくてダメな状況に対して、「くよくよしている」という作業をするんじゃなくて、「頑張る方向に行けたということは、さっきの嫌なことはストレスじゃなくて燃料に変わったんだ」って思える。
――『逃げる』『逃げない』という表現が印象的です。日頃から意識されているんですか?
していますね。そうやってわかりやすい言葉で今の自分の"サボリ具合"を把握しています。ずっと自分の中に『サボっている』という感覚があって。自分がやるべきことに足りてない=サボってる、という状態かな。努力している時間は、自分の生きている時間に対して「肯定」ができるというか、無駄にしていないなという気がします。
――なぜこのタイミングでもう1度書こうと思ったのですか? もしかして、若林さんの旅行記エッセイが賞(第3回 斎藤茂太賞)を獲ったのと関係が......?