海のプラごみ、鈍い日本の対応 環境より産業?トランプ氏への配慮?

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60以上の国や地域が使用削減に動くが...

   こうした世界的な関心の高まりを受け、今年のG7サミットでは、環境問題に熱心なカナダが議長国だったこともあり、プラスチック包装のリサイクルについて、2040年までに100%回収を目指すなどの数値目標や具体的な行動を促す「海洋プラスチック憲章」が発表された。欧州は規制に積極的で、英仏などが先行し、EU全体では、欧州委員会がこの5月、30年までにストロー、軸がプラスチックの綿棒、ナイフやフォーク、皿、風船につける棒など再利用できないプラスチック製品の流通を禁じるなどの新規制案を提示し、欧州議会などに承認を求めている。米国では西部ワシントン州シアトル市で7月から、飲食店や食料品店などでプラスチック製の使い捨てストローやフォーク、ナイフなどの提供を禁じる条例が施行された。同様の条例はニューヨーク市やサンフランシスコ市でも検討されている。

   UNEPのまとめによると60以上の国や地域が使用削減に動いているというが、こうした世界の動きに比べ、日本の対応は鈍い。

   G7サミットでの「海洋プラスチック憲章」には、カナダ、欧州諸国とEUが署名したが、日米2国だけは署名を拒否した。「生活や産業への影響を慎重(しんちょう)に検討する必要がある」というのが理由だ。同じ署名を拒否した米国でも、マイクロビーズの製造は禁止している。

   政府は、使い捨てプラスチック製品の削減や再利用、リサイクルを徹底する総合的な戦略「プラスチック資源循環戦略」を2019年夏までに策定する方針だ。(1)使い捨て容器包装などの削減、(2)使用済みプラの徹底的な回収とリサイクル、(3)植物を原料にしたバイオプラスチックの開発と化石燃料由来のプラからの転換策――を3本柱としてプラ資源の循環利用を目指すというが、どの程度の具体的な中身が盛り込めるかは未知数だ。

   超党派の議員が提出した海岸漂着物処理推進法の改正案が、6月15日、参院本会議で可決、成立し、2018年夏に施行される見通しだ。洗顔料や歯磨き粉などに含まれるマイクロビーズの製造・販売の自粛やプラごみの再利用を産業界に求める条文が新たに盛りこまれたが、規制ではなく努力義務にとどまる。

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