朝日放送テレビ(本社・大阪市)の山本晋也社長が、同局制作ドラマ「幸色のワンルーム」について、「放送すべきだと思っています」と会見で言及した。実際に起きた誘拐事件をモデルにしているのではないか、誘拐を美化しているのではないかとの批判が番組スタート前からあり、系列のテレビ朝日は放送を取りやめていた。
ドラマの初回は2018年7月8日、朝日放送が関西ローカルで放送した。
初回放送後に賛否の声
山本社長は7月10日の会見で、ドラマ「幸色のワンルーム」に対し、誘拐事件を肯定的に描いているのではないか、といった批判がネット上であがっていたことについて、「企画段階から(社内で)議論はあった」「中身の精査、当社の基準などを含めて放送を決めた」と説明した。日刊スポーツ(ネット版)などが報じた。
初回放送は、関西地区で7月8日深夜にあった。第1話を見た感想について、山本社長は「いまの時代の世の中にある問題点がつまっている」として、「このドラマは放送すべきだと思っています」と話した。
対応が分かれたのは系列のテレビ朝日で、6月中旬の段階で関東地区での放送を中止することを決定・発表した。7月3日には角南源五社長が会見で、その理由について「総合的な判断」と説明していた。ネット上では、このテレ朝の放送中止に対しても、表現の自由との関係や、誘拐を扱った他作品とのバランスといった観点から批判的な声も寄せられている。
原作は、『猫かぶりの池ヶ谷くん』などの作品がある「はくり」さんの同名漫画で、中学生の少女が声を掛けてきた男と一緒に暮らす物語を描いている。コミック版を出版しているスクウェア・エニックスのサイトによると、第1巻の内容は「その日、少女は誘拐された。しかし、それは少女にとって一縷の希望にかけた生活の始まりだった」などとなっている。
ニッカン記事によると、朝日放送は今回の会見で、初回放送のあとに「よかった」という反応や批判などさまざまな意見が寄せられたことも明らかにした。