金正恩氏「愛機」謎のウラジオストク行き これは「9月会談」への布石か

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   北朝鮮の政府専用機が2018年7月9日にロシア・ウラジオストクを往復したことが明らかになり、その目的をめぐって憶測が広がっている。

   ウラジオストクでは毎年9月に国際会議「東方経済フォーラム」が行われている。有力なのは、金正恩・朝鮮労働党総書記出席にあたっての下準備なのではないか、との見方だ。この国際会議には毎年プーチン大統領や安倍晋三首相も出席している。仮に正恩氏が出席するとなれば、多国間外交の場に正恩氏が姿を見せるのは初めて。日朝首脳会談も視野に入ってきそうだ。

  • 政府専用機のうち、「チャムメ(大鷹)1号」は約3時間にわたってウラジオストク空港にとどまった(写真は「フライトレーダー24」から)
    政府専用機のうち、「チャムメ(大鷹)1号」は約3時間にわたってウラジオストク空港にとどまった(写真は「フライトレーダー24」から)
  • 政府専用機のうち、「チャムメ(大鷹)1号」は約3時間にわたってウラジオストク空港にとどまった(写真は「フライトレーダー24」から)

約3時間でウラジオストク空港を後に

   北朝鮮は、国営高麗航空が購入した旧ソ連製のイリューシン62M型機を政府専用機として使用している。平壌-ウラジオストク間は国営高麗航空が定期便を週2往復しているが、使用されているのはツポレフ204型機やアントノフ148型機で、政府専用機とは別のものだ。今回は、少なくとも2機ある政府専用機のうち、「チャムメ(大鷹)1号」のウラジオストク行きが確認された。航空機の位置を表示するウェブサイト「フライトレーダー24」によると、チャムメ1号は日本海上空を経由して9日午前9時(日本時間)頃にウラジオストク空港に到着し、正午過ぎに同空港を出発した。

   正恩氏は18年5月の大連訪問の際、チャムメ1号を利用。6月の米朝首脳会談では、正恩氏は中国から借りたボーイング747型機に乗ってシンガポールに向かったものの、チャムメ1号も随行者を乗せて現地に飛んだ。チャムメ1号は、元々は1960年代に開発された旧ソ連製のもので、1980年代に購入されたとみられる。老朽化で航続距離に不安があったためだとみられるが、国営航空会社が定期便を飛ばしているウラジオストクであれば、比較的安全に運航できそうだ。

日朝首脳会談にも現実味?

   ロシア政府は繰り返し正恩氏のロシア訪問を要請しているが、北朝鮮側は態度を明らかにしていない。今回の政府専用機のフライトに正恩氏が乗っていたかは明らかではないが、韓国の聯合ニュースは、対北朝鮮消息筋の話として

「おそらくフォーラムへの金委員長の出席の可否などを点検するため、実務団が先発隊として現地を視察したとみられる」

と伝えている。

   読売新聞は6月14日、日朝両政府の関係者が日朝首脳会談の実現に向けて接触を繰り返しているとして、

「首相が8月頃に平壌を訪問する案や、9月の国際会議を利用した会談などが検討されている」

と報じている。この「9月の国際会議」はウラジオストクの「東方経済フォーラム」のことを指しており、仮に正恩氏がフォーラムに出席するとなれば、日朝会談も現実味を帯びてきそうだ。

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