ポンペオ3度目の訪朝で非核化「後退」か 「CVID→FFVD」と変化した意味は?

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   米国のポンペオ国務長官の3度目の訪朝を機に、米政権が「FFVD」という単語を連発している。「最終的で完全に検証された非核化(final, fully verified denuclearisation)」の意味だが、これまで米国は「完全かつ検証可能で不可逆的な方式の非核化(CVID=complete, verifiable, and irreversible denuclearisation)」にこわだってきた。

   2018年7月8日に東京で行われた日米韓の外相会見では、FFVDは「CVIDよりもソフトに見える」という指摘も出た。これは3か国にとって「後退」なのか。

  • 日米韓3か国の外相はCVIDとFFVDの「違いはない」と説明している(写真は外務省ウェブサイトから)
    日米韓3か国の外相はCVIDとFFVDの「違いはない」と説明している(写真は外務省ウェブサイトから)
  • 日米韓3か国の外相はCVIDとFFVDの「違いはない」と説明している(写真は外務省ウェブサイトから)

非難の一方で「トランプ大統領に対する信頼心を今も持っている」

   ポンペオ氏は7月6日から7日にかけて北朝鮮を訪問し、非核化に向けた協議を行った。この協議の内容に北朝鮮は不満だったようだ。

   国営朝鮮中央通信は7月7日、「米国側の態度と立場は実に残念極まりないものであった」とする北朝鮮外務省報道官の談話を配信。それによると、北朝鮮側は

(1)朝鮮(戦争)停戦協定締結65周年を契機に終戦宣言を発表する

(2)非核化措置の一環としてICBMの生産中断を物理的に実証するために大出力エンジン試験場を廃棄する

(3)米軍遺骨発掘のための実務協議を早急に始める

といった事柄を提案したが、米国側が米朝首脳会談の精神に背く形で

「CVIDだの、申告だの、検証だのと言って、一方的で強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した」

などと非難。CVIDを拒否する姿勢を鮮明にした。

   さらに、今回の協議を通じて「朝米間の信頼はより強固になるどころか、むしろ確固不動であったわれわれの非核化意志が揺さぶられる危険な局面に直面するようになった」などと主張したが、「われわれは、トランプ大統領に対する信頼心を今もそのまま持っている」とも。今後の協議に含みを残した。

   FFVDという言葉が使われるようになったのは、国務省がポンペオ氏の訪朝を発表した7月2日頃。8日に東京で開かれた記者会見では、FFVDが「CVIDよりもソフトに見える」という指摘も出た。

ポンぺオ「彼らは反論しなかった」

   河野太郎外相が

「言葉は違うかも知れないが、意味するところは大きくは変わらない」

と応じたのに続いて、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相も

「(FFVDが)完全な非核化に向けた(日米韓)共通の目標を表現するにあたってソフトになった、ということはまったくない」

とした上で、「完全な非核化」は

「武器、原料、施設、計画の完全な除去」

だと述べ、ポンペオ氏も

「2人の同僚が明確に質問に答えた。違いは全くない」

と続けた。さらにポンペオ氏は、

「我々が彼ら(北朝鮮側)に非核化の範囲を伝えたところ、彼らは反論しなかった」
「金(正恩)委員長による約束は重要で力強く、金氏は自分の約束を理解していると確認している」

などと述べた。

   東亜日報は、

「表現が違うだけで、核心は『検証(Verify)』にあるというのが専門家たちの共通の解釈」だと指摘。北朝鮮が会談後も施設を改修・建設する動きを見せる中で、

「徹底した検証の必要性を再度強調したということだ」

などと解説している。

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