豪雨の被害に見舞われた広島県・岡山県などで、奇妙な情報が出回っている。「レスキュー服」姿の窃盗団が、浸水した住宅などを狙って「泥棒」を働いているというのだ。
だが、この情報は出所が確かではない。広島県警は公式ツイッターで「デマ情報に気を付けて」と発信、注意を促した。
尾ひれつけながら拡散
一連の噂は少なくとも8日午後ごろからツイッターなどで広がり始めた。その内容は、被災地に「レスキュー服」の泥棒が大量に出没中だというもので、乗っているという車の車種のほか、「大阪ナンバー」「倉敷ナンバー」「岡山ナンバー」の具体的な車両番号まで記載されている。
出元としては「消防団から来た情報」などとうたわれ、出没する地域は「真備」、「広島」など、ツイートによって異同がある。情報は地元住民を中心に猛烈な勢いで拡散し、ツイート数の多い言葉を集計するYahoo!リアルタイム検索でも、一時「大阪ナンバー」などの言葉が上位にランクインした。
だが、結論から言うと、この情報の信憑性は乏しい。広島県警の公式ツイッターは2018年7月9日、「犯罪情報官速報」として、以下のように伝えた。
「デマ情報に惑わされないで!
現在、SNSなどで『レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入っている』『犯人が乗っている車は○○で、ナンバーは○○○○』などといった情報が拡散されていますが、警察では、そのような事実は把握していません」
倉敷市でも「把握していない」
ツイートの中で名指しされている真備町がある倉敷市の広報担当者も9日、
「SNSでそうした情報が発信されていることは確認しているが、具体的な被害があった、といった電話などは、こちらには来ていません」
とJ-CASTニュースの取材に回答した。
そもそも情報の拡散を追うと、元々は「大阪ナンバーの車に気を付けて」程度のものだったのが、いつの間にか具体的な車種、さらに「レスキュー服」といった犯人の出で立ち、さらに「岡山ナンバー」や「倉敷ナンバー」も追加され、最終的には具体的な車両番号まで増えている。情報の出元も総じてあやふやである。
思い起こされるのは、1980年代から存在する古典的な怪文書「当たり屋グループ」だ。「要注意ナンバー」として具体的な車両番号を掲載し、「このナンバーの車は当たり屋だから気を付けて」と呼びかけるものだが、いずれもデマとされている。
広島県警の上記ツイートでは、被災地を狙った盗難被害には「十分に注意」するよう呼びかけた上で、
「デマ情報(フェイクニュース)の可能性が疑われる場合は情報の発信元を確認しましょう」
「不確定な情報をSNSなどで拡散させないでください」
「不確定な情報に惑わされることなく、冷静な行動に努めましょう」
と訴えている。