資生堂化粧品が中国で突如売れ出した  若者の自己顕示とSNSの魔術

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給料の4分の1を美容液つぎこむ若者

   中国市場では今まさに「消費のレベルアップ」が起きている。化粧品業界で言えば、多くの若者が高級化粧品のための出費を惜しまなくなりつつある。市場調査関係機関のデータによると、2017年の中国の大学卒業生の平均月給は4014元(約6万8000円)だが、給料の4分の1をつぎこんで1本の美容液を買うことをいとわない若者は少なくない。

   さらに注目すべきなのは、中国の若い消費者がある商品を使用した後、ソーシャルメディアでその情報をシェアし、宣伝し、友人・知人に購入を勧めたがるという点だ。これは、高級化粧品消費の低年齢化と効果の拡大をさらに顕著にしている。

   具体的な例が、資生堂傘下のCPB(クレ・ド・ポーボーテ)だ。「貴婦人ブランド」と呼ばれ、洗顔フォームは1本500元(約8500円)、フェイスクリームと美容液は1000元(約1万7000円)、2000元(約3万4000円)を下らない。2015年、中国でこのブランドの広告を見かけることもなかったが、突然、火が付いた。資生堂の統計によると、2015~2017年の3年間に、CPBブランドの中国市場における販売高はおおむね3倍増を実現した。

   藤原氏もソーシャルメディアがCPBの人気上昇に寄与してきたことに繰り返し言及し、

「中国の消費者がソーシャルメディアで自己顕示したがり、自分の手に入れた良いものをシェアしたいという思いは、日本国内やその他の市場とまったく異なる特徴だ」

としている。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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