デジタル化とEコマース
資生堂は2018年3月から着手した「新3カ年計画」で、中国市場におけるデジタル化構築とEコマース発展の加速を明記した。資生堂は同時に、2030年には「全世界で高級化粧品市場のトップ3入りを果たす」と公言し、それには中国の消費者が資生堂の商品を認めるかどうかが鍵となる。
しかし、5年前は違った。当時、資生堂の国際業務は泥沼にはまっていた。『フィナンシャル・タイムズ』の報道によると、2006年から2013年の8年間に、資生堂グループの売上高の年平均伸び率はわずか0.2%であったが、当時、世界の化粧品業界の平均伸び率は4%を上回っていた。たとえば、2014年、資生堂の中国における伸び率は2.9%で、ライバルであるロレアルの7.7%、ジャスミン太平洋の44%、上海家化(Jahwa)の19.8%に比べて、かなり見劣りしていた。
2014年、資生堂は同社の伝統を打ち破る歴史的な決定を行った。60歳の魚谷雅彦氏を同社初の外部からの最高経営責任者(CEO)として招聘したのだ。この任命は会社改革における最大の冒険であり、1872年に日本初の洋風調剤薬局として創業して以来、同社のかじ取り役は一貫して全て内部で育成してきた。これはまた日本企業の伝統でもあった。
魚谷氏は、シティバンク、N.A、日本コカコーラ、クラフト・ジャパンなどの欧米系企業の取締役社長などを歴任。資生堂の問題について「絶えず変化している市場、消費者の価値観、購買行動に迅速に対応していないことにある」と指摘していた。
2014年末、同氏は資生堂再興計画に着手し、中国市場業務の再建を同時グループ改革の重点とした。
中国で、より現地化した組織・構造の調整のほか、中国地区特有の改革として、藤原氏は前述した界面-インターフェースに、「資生堂は、特に中国地区におけるEコマースのプラットフォームに対する投資を強化した」と語った。この改革こそが、中国の化粧品市場と消費者の変化に応じた回答だった。