ベルギー戦のヘディング、ニアポスト付近に立った川島
もう1つはベルギー戦の1点目。川島が、ゴール前のハイボールをFWロメル・ルカクと競り合い、パンチングしたが、十分遠くに飛ばせなかった。こぼれ球もクリアできず、日本のペナルティエリア右サイドにいたDFヤン・フェルトンゲンのヘディングが、放物線を描いて川島の頭上を越え、ファーサイド(ボールから遠い方向)のゴールネットに吸い込まれた。比較的緩やかなボールだったこともあり、止められたのではないかと批判を浴びた。
ここでの川島のプレーは2か所ある。ルカクと競ったパンチングと、フェルトンゲンのヘディングへの対応だ。山野氏は順に振り返る。
「世界最高峰のフィジカルを備えるルカク(編注:190センチ・94キロ。川島は185センチ・80キロ)と競り合ったことを考えると、あのパンチングはペナルティエリア外に出すのは不可能な状況で、それでも先に触ってサイドに弾いています。触れもしないとか、目の前に弾いたのであれば『ミス』と言えますが、そうではありませんでした。
そしてフェルトンゲンのヘディングの時、川島はニアポスト付近(ボールに近い側)を守っています。危険なニアを切るのはセオリー通りです。ニアのスペースを埋めるフィールド選手もいませんでした。
『あの状況ではニアに来ない。最初からファーへの折り返しに備えるべきだった』と言う人もいます。ですが、『来ない』と言える根拠が判然としません。予想の難しいゴールでもありました(編注:距離は18.6メートル。ヘディング弾としてW杯史上最長)。ですから、失点はしましたが、防ぐのは困難なゴールであり、川島のポジショニングや対応がそこまで批判されるものとは思えません」
ネット上の川島への批判は「感情的に叩き過ぎではないか思いました」とし、「どのプレーがどういうミスなのか、根拠を示し、建設的な議論をすべきです」と主張する。