「澄んだ心で死刑制度に対して厳正に向き合う必要」
これまでも上川氏は「鏡を磨く」という表現を繰り返してきた。上川氏は第2次安倍改造内閣で、公職選挙法違反の疑惑で辞任した松島みどり氏の後任として法相に就任。17年10月の内閣改造で退任したが、17年8月の第3次安倍第3次改造内閣で改めて法相に起用されていた。法務省の会見録で確認できる限りでは、上川氏が初めて「鏡を磨く」という表現を使ったのは15年10月6日だ。名張毒ぶどう酒事件で無実を訴え続けていた奥西勝(おくにし・まさる)死刑囚が病死したことを受け、死刑制度のあり方について問われ、
「一つ一つの事例について、正に鏡を磨いていくと、磨ききって磨ききっていくというような澄んだ心で、この制度に対しても厳正に向き合う必要があると思っている」
などと答弁していた。
上川氏の前回の死刑執行命令は17年12月。犯行当時19歳だった少年死刑囚ら2人の死刑が執行され、その際も
「鏡を磨いて、磨いて、磨いていく、そういう心構えで慎重にも慎重な検討を加えた上で死刑の執行を命令した次第」
と述べた。少年死刑囚の死刑執行は、判決で死刑を選択する「永山基準」で知られる永山則夫元死刑囚(1997年8月執行)以来20年ぶりだったが、この時は「磨く」は3回繰り返しての使用だった。