トランプ「ちゃぶ台返し」もぬか喜び
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加に当たって、この保護期間延長、そして著作権侵害の「非親告化」が議論の的になった。巻き起こったのは、日本のコンテンツ産業衰退にもつながりかねないとの異論だ。結局、非親告罪化について、対象を「海賊版」などに限定し、「コミケ」などの2次創作物は含まれない、とした上で、「保護延長」を含むTPP整備法が2016年に成立する。
ところが、ここでちゃぶ台返しが。米国のドナルド・トランプ大統領が離脱を表明、TPP自体が暗礁に乗り上げたのだ。これで一連の著作権法改正も先送りに。反対派は胸をなでおろしていたのだが、日本は引き続き米国抜きの「TPP11」として協定を推進する。TPP11では著作権をめぐる内容は「凍結」されたものの、結局政府は「70年」を外すことはなく、29日の成立となった。
一夜明けた30日付の全国紙朝刊はしかし、いずれも同じ日に成立した「働き方改革」「高プロ」を1面トップに。朝日が「TPP関連法も」の小見出しで、「著作権の保護期間は死後50年から70年に延びる」と言及したのが、1面での数少ない言及となった。政界でも、たとえば直前27日の党首討論では、「モリカケ」追及に野党が時間を費やした一方、この問題が主要なテーマとなることはなかった。いったん決まったものが再確定しただけ、といえばそうではあるが、ネット上では脱力、嘆息の声が相次いでいる。
施行はTPP11の発効のタイミングとなる。