「高プロ」が焦点になった働き方改革法案、ロングランの森友・加計学園問題、そして続く与党議員の失言――相も変わらず「紛糾」する国会で、ある法律が改正されることとなった。
「著作権法」だ。2018年6月29日の参院本会議でTPP関連法が可決・成立したためで、結果、長年の懸案だった「保護期間の延長」が、ほぼ確定することとなった。
山本太郎「居酒屋で語ってる夢」とほえたが
「『20年延長でどのように利益が出るか試算したんですか?』、政府に聞いても、『定量的に試算を行うのは困難であるため、試算は実際に行っておりません』と答える。(中略)居酒屋で語ってる夢レベルですよ」
28日の参院内閣委員会、とうとうとまくし立てたのは、山本太郎・参院議員だ。メディアでもほとんど取り上げられなかったこの討論で、山本氏はひたすら異議を唱えたものの、結局その後、関連法は可決されることになる。
日本では、小説や音楽などの保護期間は、作者の死後「50年」とされてきた。しかし欧米諸国では「70年」が主流だ。日本でも以前から、延長の是非が議論されてきた。期間が伸びれば、往年の名作の権利を持つ企業などは、当然それだけ「得」をすることになる。
一方、再出版やデジタルアーカイブへの収録は、ハードルが高くなる。たとえば、著作権切れ(パブリックドメイン)となった文学作品を公開するサイト「青空文庫」だ。2016年には、江戸川乱歩(1965年没)の名作の数々が一挙にアップされ、ネットで自由に読めるように。作家に改めて注目が集まるきっかけともなった。
だが、これが「70年保護」となれば、たとえば1970年没の三島由紀夫は、2040年まで青空文庫入りできない。作品の再評価の機会を逸し、アクセスを困難にし、そのまま忘却されかねない――反対派からは、こうした意見が上がる。