読者へのお詫びが、まさかの「有料会員限定」――!? 日本経済新聞が2018年7月4日に電子版で掲載した1本の記事が、インターネット上で思わぬ注目を集める騒ぎがあった。
話題の記事は「読者の皆さまにおわびします」というタイトルで、元社員の情報漏えい問題を謝罪する内容だった。にもかかわらず、公開当初は有料会員でないと全文が閲覧できない状態だったのだ。
「この記事は会員限定です」
日経は電子版に3日夕掲載した記事で、社員の賃金データなどを外部に漏えいさせたとして、東京本社の元社員を不正競争防止法違反容疑で警視庁に告訴したと発表した。日経電子版約34万人分の読者情報など、顧客データも外部へ持ち出していたという。
この記事の末尾には、「読者の皆さまにおわびします」と題したお詫び文も掲載。社内調査の結果、顧客情報が外部に漏えいした事実は「確認されませんでした」としたが、
「社内調査には限界があります。元社員が提出済みの記録媒体以外に営業秘密を保有していないかどうか、これ以上確認することができません」
と伝え、今後は警察の捜査に委ねるとした。もちろん、この記事はすべての読者が閲覧できる状態となっていた。
だが、その後4日未明に改めて電子版に掲載された別のお詫び記事が、ネット上で思わぬ騒ぎを招くことになった。
3日夕の記事から、お詫びの部分だけを抜き出して再掲載した内容なのだが、これが公開当初は「有料会員限定」の設定だった。スマートフォン版では、タイトル下に「有料会員限定」の表記も。非会員や無料会員では、記事の前半しか読むことができず、お詫びの途中で、
「この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます」
との案内が表示されていたのだ。ちなみに、日経電子版の有料会員限定記事の購読料は月額4200円だ(無料会員の場合、月10本まで有料記事を購読可能)。
日経に聞くと...
もちろん、同じお詫び文は3日夕の記事の中で確認できたのだが、有料会員向けとなっていた4日の記事だけを目にしたネットユーザーも少なくなかったようだ。実際、ツイッターやネット掲示板には、
「謝罪記事を有料会員限定とか喧嘩売ってる」
「お詫びが有料とか前代未聞だな」
との指摘が相次いでいる。さらには、「会員限定謝罪記事ってシュールやな」「この件に関する謝罪記事も有料にしてほしい」などと面白がるユーザーの姿も目立っていた。
その後、このお詫び記事は翌5日昼までに設定が変更され、現在は非会員の読者であっても全文が閲覧できる状態となっている。
はたして、読者にお詫びをする内容の記事にもかかわらず、なぜ有料会員向けの記事に設定していたのか。J-CASTニュースが5日夕、日経新聞社広報室に取材すると、
「『読者の皆さまにおわびします』の記事は、7月3日16時に電子版で公開しました。この記事は当初から会員種別を問わずすべての読者が読める状態となっています。ご指摘の記事は、7月4日午前2時に公開した同一内容の朝刊掲載の記事であり、ほかの朝刊記事と同様に、当初は有料会員向けとなっていました」
との回答があった。