【震災7年 明日への一歩】東電福島第一原発のいま 今も続く汚染水対策に知恵を絞る日々

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凍結管の上部には白く霜が降りていた

   地下水対策の中でも大がかりなのが、陸側遮水壁だ。1~4号機の周り約1.5キロを「凍らせた土壁」でぐるりと囲み、地下水を迂回させて建屋から遠ざける。土を凍らせるための凍結管は地中約30メートルまで埋められているため見ることはできないが、その規模や様子を感じる場面があった。

   3、4号機に近い高台で降車した記者の目に、銀色をした何本もの配管が地面と平行してずっと先まで伸びている光景が飛び込んできた。この中に、凍結管の中を循環して周辺の地盤を凍らせる冷媒の通り道として使われるパイプがあった。

   配管が建屋の周りに張り巡らされていることを実感したのは、バスで建屋の近くまで移動した際だ。一時停止して車窓から眺めると、地面をはうようにパイプが走っている。その間に挟まるように、地中深くに刺さっている凍結管の上部が地上に出ているのが見えた。その部分は、霜が降りて白くなっていた。凍結管は約1メートル間隔に埋設され、全1568本ある。

   東電の評価シミュレーションによると、複数の汚染水対策により雨水や地下水に起因する汚染水発生量は、陸側遮水壁閉合前の2015年12月~16年2月平均が1日あたり約490トンだったが、閉合後の17年12月~18年2月22日平均は約110トンとなり、発生量は4分の1まで低減。これに廃炉作業に伴い発生する建屋への移送量を足しても、1日あたりの発生量は約140トンになる。

   廃炉への「中長期ロードマップ」では、2020年内に150トンを目標に掲げており、直近データではこれを下回っている。汚染水を、何とかコントロールしようという現場の知恵が、数字のうえでも現れている。

   ただし発表されたデータは、雨量が少ない時期のものでもある。その点を質問すると、広報担当者は「評価は年間を通して行っていく予定」と言った。

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