日本テレビの人気演芸番組「笑点」で半世紀にわたって活躍し、落語芸術協会の会長も務めた落語家の桂歌丸(かつら・うたまる、本名・椎名 巌=しいな・いわお)さんが2018年7月2日、肺炎のため死去した。81歳だった。複数のメディアが報じている。
16年5月に「笑点」を退いた後も、落語の公演は続けていたが、肺炎などで入退院を繰り返し、ファンや関係者らが体調を心配していた。
勇退後は「終身名誉司会」に
1936年生まれ。横浜市の出身。子供のころからラジオで落語を聞いて育った。早くから落語家を志し、中学3年で5代目古今亭今輔に弟子入り。その後、師匠のところを飛び出し、一時はセールスマンなどもしていたが、再び落語の世界に戻って兄弟子・4代目桂米丸門下へ移籍した。64年から「桂歌丸」に。
66年スタートの「笑点」には番組開始時から出演。4代目三遊亭小圓遊師匠(故人)との軽妙なやりとりで人気を集めた。2006年からは5代目三遊亭円楽(故人)さんに代わって番組として5代目の司会を務めた。晩年は肺疾患、帯状疱疹、背部褥瘡、腸閉塞など体調不良が続き、体力的に限界にきていることを理由に16年5月、勇退。その後は「終身名誉司会」になっていた。
いじられてもめげずに、上手に反撃して笑いを誘う。ひょうひょうとした「愛されキャラ」で長年お茶の間で親しまれた。恐妻家としても知られ、しばしはネタにしていた。生家は横浜で妓楼を経営、色街育ちということもあって洒脱で、番組で女装を披露することもあった。
埋もれた古典落語の復活にも力を注ぎ、歯切れの良い語り口と、登場人物になりきる人物造形で人気だった。怪談が得意演目で「牡丹燈篭」など多数の落語CDやDVDを出している。04年から5代目の落語芸術協会会長を務めていた。役者としてテレビドラマや映画に出演したこともあり、CM出演も多かった。