なぜ日本だけ「正常化」遅れるのか 金融政策に「雲泥の差」

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   日米欧の金融政策の方向性の違いが一段と明確になっている。日銀が現行の大規模な金融緩和政策をそのまま続ける一方、欧米の中央銀行は相次いで正常化、つまり緩和の終息に向けた動きを加速させている。日本も景気は回復しているのに、物価は想定通り上がらず、「出口」が見えない日銀の苦悩は深まる。

   日銀は2018年6月15日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利(10年物国債の流通利回り)を0%程度に操作する金融緩和政策の維持を賛成多数で決めた。物価上昇ペースは日銀の想定に反してむしろ鈍化しており、大規模緩和は長期化する見通しだ。

  • 日銀の金融政策には出口が見えない
    日銀の金融政策には出口が見えない
  • 日銀の金融政策には出口が見えない

欧米は「脱・緩和」

   一方、欧米は「脱・緩和」の動きを強めている。米連邦準備制度理事会(FRB)は13日、今年2回目の利上げを決定した。FRBのパウエル議長は、「今日の決定は米経済が非常に強いことの証しだ」と述べたように、2018年の実質国内総生産(GDP)伸び率が2.8%、インフレ率は2.1%と、見通しを上方修正した。

   FRBは2015年末から利上げをしてきており、今回の利上げ自体も市場は織り込み済み。焦点は年内の利上げ回数だが、前回3月時点は「3回」が多数派だったのが、今回はわずかながら「4回」が上回り、年内にあと2回の利上げが見込まれるところにきた。米国の景気拡大がこの7月に10年目に入り、遠からず減速、景気後退に至る可能性が徐々に高まっており、早めに金利の正常化(利上げ)を進め、景気が悪化した時に利下げして景気をテコ入れできる余地を広げておきたいというのが、FRBの狙いとされる。

   欧州中央銀行(ECB)も6月14日、年内に量的緩和政策を終える、つまり、国債を市場で購入して資金を大量に供給して景気を押し上げようという政策をやめる方針を決めた。背景にあるのが、ユーロ圏の順調な景気回復だ。ECBのドラギ総裁が「我々の目標に着実に近づいている」と述べるように、ユーロ圏の1~3月期のGDPは前期比0.4%増。2018年の成長率見通しは従来の2.4%から2.1%に下方修正したものの、「高成長を記録した前年の反動」((ドラギ総裁)と強気。量的緩和を導入したのは15年3月だったが、3年以上に及ぶ量的緩和によって消費や投資が拡大し、金融政策の正常化へ大きな一歩を踏み出したわけだ。

   ただし、これ以上の緩和は打ち止めというだけで、金融緩和を元に戻す「出口戦略」は慎重に検討していく構えで、マイナス金利を元に戻す利上げは早くても2019年9月以降としている。それでも、「出口」の議論さえ封印する日銀とは雲泥の差だ。

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