外国人労働者の拡大は世界的な動き
日経に限らず、基本的方向性を「是」とする論調が多い。「原則として認めてこなかった単純労働にも門戸を開くもので、実質的な政策転換につながる。......外国人労働者の拡大は世界的な動きであり、経済成長のためにも欠かせない。人口減少が進む日本で検討していくことは当然だ」(毎日、7日)、「少子高齢化に伴う経済・社会の活力低下を防ぐため、外国人労働者の受け入れ枠を広げる方向性は理解できる」(読売、18日)といった具合だ。
ただ、安上がりな労働力の確保、あるいはそこまで言わなくても安易な労働力確保策の側面が強くなりかねないとの懸念も強い。現状の技能実習制度の問題を踏まえ「適切な処遇で報いることが欠かせない」(読売)、「賃金などの労働条件はもちろん、社会保障などを含めた環境の整備が求められる」(毎日)などの主張がそれだ。
この点、朝日(19日)が強く訴えており、「大切なのは、外国人労働者を社会を構成する一員として正面から迎え入れる姿勢だ」として、政府に「日本語学習の機会の保証」を強く求めるとともに、受け入れる企業にも「賃金や休日などの労働条件を順守するのはもちろん、その外国人の文化・習俗を理解し、働きやすい職場をつくる責任を負う」と求める。
朝日は最後に「現実を見すえ、共生のための仕組みづくりを急がなければならない」と締めている。毎日も「外国人の増加を巡っては、国民の間で治安悪化の懸念など不安が根強いことも否定できない」と指摘したうえで、「目指すべきは、外国人労働者が地域の人々と交流し、共に生活を営む社会であろう。そのためには、官民で就労受け入れを巡る議論を深める必要がある」と書く。社会全体で受け入れようという主張は、そう明示的に書くかどうかは別にして、各紙に通底する視点だろう。