産経が政府方針へ示した懸念 外国人労働者の「受入拡大」問題

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経済効果への期待、治安面への不安

   新制度の対象業種として、政府は人手不足に悩む建設、農業、介護、観光(宿泊)、造船の5業種を想定。年間数万人の外国人労働者が新たに確保できると試算しており、2025年ごろまでに50万人超が来日すると見込んでいる。業種はいずれ拡大される可能性もある。

   他方、他の就労目的の在留資格と同様に「日本人と同等以上の報酬の確保」をうたうとともに、外国人労働者の増加でオーバーステイや偽装滞在などの問題が深刻化する可能性もあるとして、在留状況を厳しく管理する方針も併せて打ち出した。

   実は、技能実習の滞在期間を従来の3年から5年に延長したのは、2017年11月から(法改正は前年)で、半年余りで滞在期間を事実上10年に倍増させる方針を打ち出さざるを得なかったことになり、外国人の労働力なしに日本社会が回らないこと示していると言えるだろう。

   この問題には、経済効果のほか異文化交流などプラス面への期待がある一方、外国人を劣悪な条件で働かせることになる懸念、逆に外国人の増加による治安面の不安なども指摘され、大手紙の社説の論調もかなりバラツキがある。

   人手不足に悩む経済界の「本音」を汲んで、日経(6月7日)は、まず「構造的な労働力不足を補い、日本が成長する基盤を維持するための一歩といえる」と高く評価したうえで、日本語力、違法な労働条件などへの懸念があると指摘したうえで、「外国人の受け入れは、安心して働け、生活できる環境の整備が前提となる。外国人を雇用する企業へは監督を強める必要がある。日本語の習得や医療面などの支援にも力を入れなければならない」と釘をさす。この主張の背景には、「生産年齢人口が減る国は日本だけではなく、外国人材の国際的な獲得競争は今後激しくなる。日本を選んでもらうためにも暮らしやすい環境の整備は欠かせない」という、人材獲得を巡る国際競争という視点がある。

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