読売社説「トップの自覚が足りなかったのではないか」
こうなると、マスコミの風当たりも強まる。大手紙の多くが、2017年11月の発覚以降、毎日(11月25日社説)、産経(同28日「主張」=社説に相当)をはじめ、社説で取り上げ、法令順守の認識の甘さ、対応の不誠実さを批判してきた。今回のトップ交代後も、「説明尽くして体制刷新を」(6月18日)と題して取り上げた読売は「トップの交代で幕引きを図ろうとするのなら、あまりに危機感を欠いていないか。説明責任をしっかり果たすことを、何よりも優先すべきだ」と指摘したうえで、「適切な情報開示は、健全な企業経営に欠かせない基本ルールだ。三菱マテの一連の対応は無責任だったとの批判は免れまい」「企業統治(ガバナンス)に関して、最も重い責任を負う立場にありながら、トップの自覚が足りなかったのではないか」など、ボロクソ。
朝日も22日社説で「3月に公表した『ガバナンス体制強化』は、子会社での不正を前提に、グループ企業にかかわる意思疎通や統制の強化を前面に出している。本社で起きた問題にきちんと取り組めるのだろうか」などと疑問を呈し、日経も一連の製造業の不正全体を論じた23日「品質不正の根を断てるか」の中で、三菱マテリアルについて「不正を把握していながら公表してこなかった。きのうの株主総会でも経営陣からは、一連の不正について株主の納得のいく説明がみられなかった。品質不正の全貌や原因の解明が中途半端では信頼回復が遠のくだけだ」と批判している。
社長交代発表の際、記者会見を開かずに竹内氏の声明を公表したが、その中で、小野氏について「海外を含めた当社事業や業務に関する豊富な知識及び経験を有しており、当社グループを牽引するのに申し分ない力量を持っております。加えて、冷静さと情熱とを兼ね備え、公平で誠実な人柄から人望も厚く、今後を託す新社長として最適であると考えております」と持ち上げた。竹内氏の認識は、マスコミとはかけ離れているようだ。