「スーパーセーブ」連発GK川島を完全復活させた西野マジック、とは

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   ミス続きで批判されていたGK川島永嗣(35)が、一躍ベスト16進出の立役者となった。スーパーセーブを連発し、インターネット上では「川島ごめん」の手のひら返しがこだました。

   復活劇の要因は何なのか。元代表GK南雄太(38)は、西野朗監督の「マネジメント力」がある、との見解をツイッターに投稿。「プロならではの視点」と注目を集めている。

  • 日本代表のGK川島永嗣
    日本代表のGK川島永嗣
  • W杯2大会連続で組む川島への信頼をツイッターにつづっていたDFリーダーの吉田麻也
    W杯2大会連続で組む川島への信頼をツイッターにつづっていたDFリーダーの吉田麻也
  • 日本代表のGK川島永嗣
  • W杯2大会連続で組む川島への信頼をツイッターにつづっていたDFリーダーの吉田麻也

「批判にさらされていた川島くんをキャプテンに抜擢」

   大一番で批判を跳ね返した。ロシア・ワールドカップ(W杯)第1・2戦で失点直結のミスを連発した川島が、決勝トーナメント進出のかかる第3戦・ポーランド戦ではチームを救った。

   前半32分、日本の左サイドからクロスをあげられ、グロシツキがゴールポスト付近へとシュート。これに川島は素早くステップを踏み、横っ飛びで必死に右手を伸ばしてかき出すファインセーブを見せた。後半36分には、ゴールエリア内にいた槙野智章によるクロスの処理があわやオウンゴールのコースとなったが、川島は瞬時に左手を伸ばして弾き出した。

   FKから1失点を許したものの、もし上2つの決定機のどちらかが決まっていれば0-2。日本は得失点差で3位に転落し、ロシアを去るところだった。

   ビッグセーブに限らない。DFラインとGKの間に来たボールは、DFリーダー吉田麻也と声を掛け合って処理。後半8分には、カウンターからの相手へのロングボールに対し、思い切りよく飛び出してキャッチした。惜しむらくはマークのズレからシュートを許した失点シーンだが、DFとの連携や守備範囲は、前の試合までとは打って変わって安定した。

   復活の背景には西野監督の采配があると、元日本代表で横浜FCのGK南雄太は考えている。ツイッターで2018年6月29日、

「このグループリーグ突破が決まる大事な試合で、ミスで批判にさらされていた川島くんをキャプテンに抜擢し、川島くんに対する変わらない信頼を示した」

と、キャプテンマークを託した意図を推し量り、

「そうする事で川島くんの精神的な不安を取り除き、やってやるという気持ちにさせ、いつものプレーを取り戻させた」

と、その効果について見解を示した。その上で、

「西野さんのマネージメント力に脱帽です」

と敬意を表した。なお南自身、過去にボールを投げ誤ってオウンゴールをし、猛烈な批判を浴びた経験がある。そのため「さすが南、説得力が段違い」「誰がこう言ってるかを考えると、ものすごく心に刺さるよね」「プロならではの視点」といった反応が相次いでいる。

西野監督が前日会見に川島を呼んだ意味

   ポーランド戦は、セネガル戦から先発6人を入れ替えた大胆布陣だったが、川島は外れなかった。ベンチスタートのメンバーには主将・長谷部誠も含まれる。この状況で川島にキャプテンマークを巻かせるのは、指揮官の信頼の表れだろう。

   試合前日会見に川島を同席させたことにも、西野監督のメッセージが込められていたようだ。

   前日会見では案の定、「ミスには厳しい批判があるが、次の試合でどうやって信頼に応えるか」と直球の質問があった。川島はまっすぐ前を見つめ、

「代表としてプレーする中で、批判されることへの覚悟がなければこの場にいない。選手として、前の試合より次の試合で何ができるかが大切。前の試合はチームメイトに助けられた。今度は自分がチームを助けられるようにしたい」

と決意を述べた。自身の非から逃げず、むしろはっきり言葉にして向き合った。

   試合後のインタビューでも、同じ点に言及していた。

「この1つの試合(0-1で敗戦)に関しては残念な気持ちだが、3試合通じて全員でつかんだ予選突破なので嬉しい。この2試合、チームに迷惑をかけていた。今日は自分がチームを救う番だと思っていた。仕事ができて良かった」

と、有言実行したことに胸をなでおろした。

   こうした経緯から、前日会見にはツイッターでも次のような声があがった。

「『非難される事は覚悟、あれは自分の責任』て言った事で終始俯き加減だった川島がポーランド戦でファインセーブできたと思ってる」
「ポーランド戦では気迫と覚悟と自信が漲った経営者のような雰囲気でしたね。西野監督が行った前日会見に、彼をゲームキャプテンとして同席させたことと無関係ではなさそう」

   また、「批判されてる川島を会見に出すって考えた人、ファインプレーだな」と、人選した西野監督らスタッフの狙いを称賛する声もある。

吉田「何故、日本人で唯一欧州でGKとしてプレー出来ているか」

   監督に限らず、チームメイトの支えもあったようだ。W杯2大会連続で川島とコンビと組む吉田は、29日ツイッターで、

「ミスした者をこれでもかと叩きのめす悪しき風潮が蔓延しているこの国で、子どもらに本当に見てほしいのはチームスポーツで仲間が苦しんでいる時いかに助け合えるか、そして1人の選手が批判や重圧から逃げずに立ち向かう姿勢」

と、チーム力や、逆境に立ち向かう姿勢を力説。そして、

「そこに何故、日本人で唯一欧州でGKとしてプレー出来ているかが隠されている」

と川島への大きな信頼をつづっている。

   FIFAランクで見れば、日本の61位に対し、決勝トーナメント初戦のベルギーは3位。格上との試合では、どんなにフィールドプレーヤーが守ってもほぼ確実に決定機がつくられてしまうため、勝利にはGKのビッグセーブが必要とされる。その点で、川島の復活は史上初のベスト8進出に不可欠といえる。「今まで成し遂げたことがないことをやりたい」とポーランド戦後に語っていた川島。再びチームを救うことができるか。

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