中央政府は救済に乗り出すか、二重苦の現実
中国人が信じているのは、何か問題が出れば、「皇帝や中央、国が助けてくれないはずがない」ということである。地方にお金がなく、教師や公務員の給与遅配の問題が出れば、最後は中央が必ずお金を出して助けてくれるに違いないと信じているのだ。
この結果、中国のトップ層は二つの困難に直面している。地方債の危機が社会的な危機にまで発展しそうな勢いになったとき、中央の財政当局は果たして救済に動くのか。救済しなければ、危機が蔓延して政治危機に発展する恐れがある。救済すれば、起債を止めない地方政府に「焦げつけば、最後は中央が助けてくれる」という間違ったメッセージを送ってしまうことになる。このジレンマだ。
『財新周刊』の社説のタイトルは「地方債の尻拭いをしないことを堅持する」、すなわち救済すべきではないとしている。
しかし、今回の給与遅配が招いた集団行動のような地方政府に対する不満を抱いている地域はまだ少なく、それぞれがばらばらであるため、中国では未だ大きな広がりとはなっていない。こうした事態が全国に蔓延したとき、中央政府は果たしてこれまでの立場を守ってゆけるのだろうか。
(在北京ジャーナリスト 陳言)