地方債の規模は誰にも分からない
2018年初に、財政部が発表した「2017年12月地方政府の債券発行と債務残高状況」によれば、17年末現在、全国の地方政府の債務残高は16.47兆元で、この金額は全人代が許容する制限枠内に収まっている。しかし、賀鏗が明らかにした数字は40兆元で、これら二つの数字の間には23.53兆元の開きがある。それは17年1年間における福建省7個分のGDPに匹敵する。誰の言葉を信じたら良いのか。
前出の『財新周刊』の社説は、「中国政府には可視化できる債務は多くないが、見えない債務がいったいどれほどの額になるのか、誰もその実数を知らず、各種予測数字の開きは膨大な額に上る」と指摘している。
中国のトップ層が地方債問題を重視していないというわけではない。中国共産党第19回全国代表大会では「金融システム・リスクを起こさせないギリギリの線を守れ」と強調され、李克強首相の政府活動報告が「三大攻防戦」とは「重大リスクの回避」を第一位におくことだと述べたのは、国家のトップ層が地方債の危機を十分に認識していることを説明している。
中国共産党がもっとも恐れるのは、債務危機が経済危機に転化し、それがさらに社会的な危機にまで発展することだ。そしていま、安徽省六安市や湖南省の耒陽市ではすでに社会危機の兆しが現れはじめている。国のトップ層が慌ててもおかしくない。