渋谷駅前のシンボルが離れる――定番待ち合わせスポットとしても、全国的に有名な「忠犬ハチ公像」が全国行脚をする案が浮上している。
2018年6月18日の産経新聞(東京、15版)によると、関係者の話で、18年3月上旬に小池百合子知事側から渋谷区に対し、東京五輪のPRとして全国を回らせたいとの打診があったという。仮に全国行脚が実現すれば、48年に現在の2代目が完成して以降初めて渋谷駅前から離れることになる。
再開発で、どのみち「移動」は決定
J-CASTニュースは6月20日、東京都生活文化局・文化振興部・魅力発信プロジェクトの松田泰典課長に取材を行った。
実際に産経新聞の報道にあったハチ公の全国行脚の計画があるのかを聞いたところ、2020年に向けて行っている東京都の文化プロジェクト「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の一環として案が浮上したことはあるが「現在は白紙」とのことであった。
一方、25日と26日に取材を行った渋谷区・経営企画部・広報コミュニケーション課の杉山省吾課長は、15日の報道とは別に長谷部区長が各所で計画を話しており、計画は実在すると回答した。
何故、このような計画が持ち上がったのか。杉山さんによると、東急電鉄が主導する渋谷駅周辺の再開発プロジェクトに関係があるという。
現在、ハチ公像が設置されている場所は、再整備が行われる。そのため、再整備がすべて終了する27年までの間にハチ公像が一時的であっても現在の場合から動くことは決まっている。
そこで、現在の場所から離れる期間のハチ公像の一時的な扱いの案として全国行脚の計画が持ち上がったのだ。
産経新聞の報道では、巡回先の候補として、「ハチ」の生まれ故郷である秋田県大館市や東日本大震災の被災地、初代ハチ公像を制作した彫刻家の安藤照さんの地元の鹿児島県などがあがっているとのことだが、巡回先はもとより、実施そのものも現在のところ未定である。
忠犬の移動には批判も
さらに、再整備後にハチ公像が現在の場所に戻るのか、別の場所に移動するのかは現在のところ未定であり、今後のハチ公像の設置場所も今後の焦点となる。
秋田犬「ハチ」は渋谷駅前の像と共に全国的に知られる存在だ。東京帝国大学(現・東京大学)の上野英三郎教授の飼い犬で、1925年に上野教授が亡くなった後も約10年間、飼い主の帰りを待ち続けたとされ、語り継がれている。
そんなハチ公だけに、全国行脚についてインターネット上では、懐疑的な反応が目立つ。インターネット掲示板「5ちゃんねる」では、「けなげに場所を動かなかった忠犬を移動させてどうするw」などの声が寄せられていた。