早稲田大学の男子学生が、同大文学学術院の渡部直己教授(66)のセクハラ疑惑を茶化したような「合コン企画」を告知したことに、インターネット上で「不謹慎だ」との指摘が相次いで寄せられる騒ぎがあった。
告知された企画のタイトルは、「俺の女になれ!真夏の夜の大合コン」。主催者の学生は、ネット上での批判を受けて企画の中止を決定。あわせて、「本当に申し訳ありませんでした」とした謝罪文も発表している。
「女子数人確保済み」
渡部氏のセクハラ疑惑は、2018年6月19日にウェブメディア「プレジデント オンライン」が初報した。記事によれば、被害に遭ったのは教え子だった元早大院生の女性。精神的な苦痛から大学に通うことができなくなり、中退したという。
この女性は16年4月、渡部氏から指導だとして呼び出され、東京・高田馬場の飲食店「カフェ コットンクラブ」に2人切りの食事に連れられた。その場で渡部氏は、
「俺の女になれ」
などと女性に迫った。そのほかにも、肩や腕に繰り返し触られるなどしていたという。
女性は中退後の18年6月に早大へ被害を申し立て。大学側が各報道を受けて26日に発表した文書では、すでに調査委員会を設置したと説明。事実確認のうえ、厳正に処分する予定だという。なお、渡部氏からは辞表を送った旨の連絡を受けたとも伝えている。
こうしたセクハラ騒動を、大学公認の学生サークルで幹事長を務める早大生が「ネタ」にした。27日深夜に更新したツイッターで、
「俺の女になれ!真夏の夜の大合コン in カフェコットンクラブ」
と題した企画を30日に実施すると告知したのだ。
この会場は、渡部氏がセクハラ発言をしたとされる飲食店とまさに同じ場所。企画タイトルも踏まえると、今回の騒動を茶化していることは明白だ。なお主催者の学生は、告知ツイートの中で、
「イイ感じの男女は夜の馬場へ」
「女子数人確保済み。男女ともに参加者募集中」
などの情報も伝えていた。
「誠に申し訳ございませんでした」
こうした悪ふざけ企画にネット上では、セクハラ被害に遭った女性に失礼ではないか、などとする批判が出ることに。告知ツイートのリプライ(返信)欄にも、
「あなたにとっては遊びでも、こうした『からかい』で傷つく人や今後のセクハラ訴えを躊躇う人がでる可能性があります」
「2次加害です。被害者を侮辱し、被害を軽視するような企画はやめてください」
「即刻中止すべきだと思います。そもそも最低限の知性や良心というものはないのですか?」
などの怒りの声が相次いで寄せられる騒ぎとなった。
一連の指摘を受けて、主催者の学生は28日朝までに企画の中止を決定。その旨をツイッターで伝えるとともに、告知の投稿を削除していた。その後29日になって、学生は改めて次のような謝罪文をツイッターに掲載した。
「早稲田大学の学生としての自覚と思慮深さが足りなかったことを深く反省致します。そして何より被害者の方をはじめそのご家族や関係者様に対しては、私の軽率な行動により気持ちを弄び、傷に追い討ちをかけてしまったことを反省し、謝罪申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
所属サークルも謝罪
なお、この学生は大学公認の学生サークルで幹事長を務めている。そのため、謝罪文の中では「今回の件に関しましては完全に私個人の責任であります」と、問題された企画はサークル活動の一環ではないと説明。続けて、
「今回の私の軽率な行動により早稲田という名に泥を塗る形になってしまい勉学をはじめ様々な分野で日々精進している全早大生、早稲田のために尽力している早稲田関係者の方々、そして何より被害者女性とその家族の方や関係者の方々に深く謝罪申し上げます」
と改めて謝罪していた。
また、サークル側も同日、幹部一同の名義で謝罪文を発表。大学側からはすでに連絡を受けているとして、今後については「大学との話し合いも踏まえた上で対応させていただきます」としていた。