衆参それぞれで野党第1会派の、立憲民主党と国民民主党の対立が深まっている。働き方改革法案の審議をめぐって野党が2018年6月28日に参院厚労委の島村大委員長(自民党)の解任決議案を提出したが国民民主党は参加せず、野党の対応は割れた。
国民の大塚耕平共同代表は、「国民に説明がつく判断をしなければならない」などと他の野党の判断を暗に批判したのに続いて、立憲の枝野幸男代表から電話を一方的に切られたことを暴露。一方の枝野氏は、非公式なやり取りについて「相手側の了解なく話すべきではない」と、不快感をあらわにした。
「十分にこちらがお話しをする前に電話を切られてしまったので...」
大塚氏は6月28日の記者会見で、
「(他の野党との)足並みについては、極力そろえていきたいと思うが、さりながら、解任というのは大変重い動議。やはり、解任に値する瑕疵があったかどうかが大事なポイントだと思う」
「それなりに衆院に比べて丁寧な運営がされていると聞いている」
などとして、解任にあたるほどの瑕疵はなかったと説明。その上で、
「参院野党第1党としては、やはり国民に説明がつく判断をしなければならない」
と述べた。
さらに大塚氏は、立憲側とのコミュニケーションに関する質問に答える中で、「ガチャ切り」を暴露した。
「(立憲とのコミュニケーションは)取れていると私は思うが、先だって枝野さんからお電話をいただいたが、十分にこちらがお話しをする前に電話を切られてしまったので、そういう意味では、コミュニケーションを円滑にする努力は双方、さらにしなくてはいけない」
大塚氏によると、この電話があったのは6月22日。詳細な内容は明かさなかったが、
「国会運営について、枝野さんが若干ご異論があったのだと思うが、ご自身の意見をおっしゃるために電話をくださった」
などと説明した。6月22日は、会期延長に反発した野党が日程協議に応じない中で、自民党と国民が、週明け25日に参院予算委で集中審議を行うことで合意した日だ。枝野氏が、他の野党に根回しをしないままでの審議再開の合意に抗議した可能性もある。
「少なくともオンで、表で、外の方にお話しすべきではない」
一方の枝野氏は6月29日の定例会見で、
「大塚代表に限らず、他の党首やリーダーの方と非公式に電話で話したりお会いしたりがないわけではないわけではないが、まさに非公式にしているわけなので、会ったとか会わないとか、話したとか話さないとかということを、相手側の了解なく話すべきではないと思っているので、今のお尋ねに対してはお答えを控えさせていただきたい」
などとして電話をかけた事実を認めなかったが、「ガチャ切り」を大塚氏が暴露したことについては、
「それは大塚代表の判断だと思うが、私は非公式に色々と連絡を取っていることについては、少なくともオン(オン・ザ・レコード=記事に発言者の名前付きで引用される形)で、表で、外の方にお話をすべきではないという意見、立場に私は立っている」
と、不快感を隠さなかった。
解任決議案をめぐる野党の足並みが揃わなかったことについても、国民側に説明責任があるとの見方だ。
「できるだけ(野党の足並みは)そろった方がいいが、意見が違うから党が違うので、すべて一致するのであれば同じ党になってしまう。今の(野党)5党1会派の枠は、それぞれの違いを認めあいながら最大限連携する、ということだと思っている。そうしたことの中で、参院とは会派の構造が違うが、衆院における4党1会派が一致している中で、(国民)1党が違う判断をされたということなので、むしろそちらに、どういうご認識なのかについて聞いていただければ」
両党をめぐっては、枝野氏が27日の党首討論でも引き続き「モリカケ」の追及に時間を割いたのに対し、大塚氏がこれに触れないなど、政権との「対決」路線を取る立憲と、「対案」路線の国民とのスタンスの違いが浮き彫りになりつつある。