実在の有名企業を装った「偽キャンペーン」を告知し、住所などの個人情報を入力させようとする迷惑メールが増殖中だ。2018年5月上旬から6月下旬にかけ、各社が相次いで注意喚起の文書を発表しているのだ。
J-CASTニュース編集部が確認した限りでも、この約2か月間に上記のような迷惑メールについて注意を呼び掛けた企業は13社もあった。では、こうした迷惑メールは、どのように見分ければいいのか。専門機関に対策を聞いた。
飲食やトイレタリー関連の有名企業を騙る
今回の迷惑メールは、個人情報を不正に入手する「フィッシング詐欺」にあたる。実在しないキャンペーンに当選したと虚偽の説明をした上で、景品を送るために必要だとして、氏名・住所・電話番号の3点を聞き出そうとする内容だ。
メールで使われる「偽キャンペーン」の種類はさまざまだ。
例えば、「森永乳業」を騙ったメールでは「リプトン5月キャンペーン」、「アサヒビール」であれば「ビールがおいしい瞬間キャンペーン」など。そのほか、「山崎製パン」の「春のパン祭り」といった実在のキャンペーン名を使い、虚偽の当選報告メールを送る事例もあった。
J-CASTニュースが6月28日に確認した範囲では、上記のような迷惑メールで注意を呼び掛けたのは13社にも及んだ。その内訳は、以下に記載した通りだ(カッコ内は注意文が発表された日時)。
5月...カゴメ(6日)、クラシアン(8日)、ユニリーバ・ジャパン(10日)、森永乳業(10日)、サントリー(10日)、山崎製パン(14日)、西友(15日)、マルハニチロ(16日)、アサヒビール(18日)、キリン(28日)
6月...伊藤園(18日)、フジッコ(18日)、花王(20日)
以上を見て分かる通り、今回の迷惑メールで社名が使われているのは、飲食やトイレタリー関連の有名企業ばかり。こうした業種を踏まえると、主に「ファミリー層」を狙ったフィッシング詐欺とも考えられそうだ。
個人情報を教えるとどうなるのか
このように、「偽キャンペーン」を騙った迷惑メールは、どう見分ければいいのか。J-CASTニュースが28日、フィッシング詐欺対策の専門機関「フィッシング対策協議会」(東京・千代田区)に聞いた。
まず担当者は、今回の事例のように企業を騙った迷惑メールについて、「古典的な手法ではありますが、騙されて個人情報を教えてしまう人は少なからず出ています」と説明。メール送付側の狙いについては、
「今回の迷惑メールで得た氏名や住所などの情報を、別の詐欺に利用する目的があると思われます。例えば、個人情報を記載した督促状のような偽のメールを送り、現金を騙し取ろうとするなどです」
とした。
その上で、今回の偽キャンペーンへの対策法については、「基本的なことになりますが、やはり少しでも疑わしい場合は、しっかりと確認をすることが重要です」。具体的なポイントとして、以下の3点を挙げた。
・メールに記載されたキャンペーンに本当に応募したか、自分のメールアドレスを企業に教えた覚えがあるかどうかを確認する
・メール内に企業の正しい問い合わせ先が明記されているかを確認する
・キャンペーンを主催する企業にメールについて問い合わせをする
なお担当者によれば、メールソフトの「送信者」欄は詐称できるため、そこだけを見て判断するのは危険だという。また、すでにこうした詐欺メールに個人情報を返信してしまった場合は、警察や消費生活センターなどの専門機関にすぐ相談をして欲しい、とも訴えていた。