浄土教の一宗派である「時宗」の総本山が2018年6月27日、宗内寺院の教師がインターネット上で差別発言をしていたとして、実務トップにあたる宗務総長の名義で謝罪文を発表した。
問題となったのは、神奈川県鎌倉市にある光照寺副住職のツイートだ。5月29日の投稿で、韓国業者が絡むトラブルに関連して、「懲らしめてください」などと主張したことに、インターネット上で批判が寄せられていた。
当初、批判に反論
不適切投稿があったのは、「光照寺」(@ippen_jishu)というアカウント。運営していたのは同寺院の副住職で、少なくとも14年頃から寺の公式ツイッターのような形で情報発信を続けていた。
問題のツイートは18年5月29日のもの。愛犬の写真を韓国のグッズ業者に無断利用されたと訴えるユーザーの投稿を紹介しながら、「韓国人」について「こんなことしているから(略)嫌われるんですよ」などと主張。さらに続けて、「嫌いな人減らしたかったらこの原因作ってる韓国人を懲らしめてください」とも書き込んでいた。
こうした投稿が問題視され、ネット上には「どストレートな人種民族差別発言」「これはヘイトスピーチではないでしょうか」などの批判が相次ぐことに。だが、こうした意見にも副住職は、「怒ることが間違いである。と言う事ですか?」などと反論していた。
こうした投稿は今回が初めてではなく、2014年にも複数の同種投稿が確認できる。
光照寺は、時宗総本山遊行寺(神奈川県藤沢市)の末寺にあたる。
「宗派を代表しお詫び申し上げます」
こうした差別投稿について、時宗側は今回、6月27日に公式サイト上で謝罪文を発表した。宗務総長・桑原弘善氏の名義で、まず「このたび、宗内寺院の一教師がインターネット上において差別的な発言をしていることが判明しました」と説明。その上で、
「この事実に対して時宗として遺憾の意を表するとともに、名誉を傷つけられた方々に対し、宗派を代表しお詫び申し上げます。また、今後、同様なことが絶対に起きないように、注意喚起はもちろんのこと、時宗教師全体の意識強化に努めて参ります」
とお詫びしている。
時宗教務部の担当者は28日、J-CASTニュースの取材に対し、「本日、光照寺の副住職を呼び出し、投稿のような考えを持っていることは到底許されることではないと、強く指導をしました」と説明。このとき、副住職は反省した様子で、
「もうツイッターはやめる」
と話していたという。実際、すでに光照寺のツイッターは、非公開設定の「鍵付き」アカウントとなっている(28日夕現在)。
また、その場で差別的なツイートをした理由を副住職に聞き出したところ、本人は「日本で作られた絵を韓国の業者が盗用したことに反感を抱き、あのような批判を書いた」と釈明したという。なお、今後の対応について教務部の担当者は、
「本人には謝罪文を提出するよう命じました。その内容によっては、審査委員会に申告し、除名などより重い処分を下す可能性もあります」
と話していた。