自分の子供が観劇に興味を示さないとして、坂井豊貴・慶大教授が「ゲームはクソ!」などと子供に言ったとツイートしたところ、疑問や批判も相次ぐネット論議になっている。
坂井教授は、自身も子供と毎日ゲームをしていると説明したが、ツイートは削除した。
子供は大泣きし、「任天堂に失礼だー」と言い返す
ツイッターのプロフィールによると、坂井教授は、過去に劇団員をしていたことがある。
それもあってか、2018年6月25日のツイートでは、自らの子供にミュージカルへの興味を持ってもらおうとしたというが、「子どもがあまりに観劇に関心を示さない」と嘆いた。そして、腹を立てた坂井教授は、こう叫んだという。
「ゲームはクソ! ミュージカルが最高!」
すると、坂井教授の子供は、大泣きし、
「ゲームが大好きなのにー」「任天堂に失礼だー」
と坂井教授に言い返した。しかし、坂井教授は、
「ゲームをけなしたら泣く人間がいるのか。それが私の子どもなのか。わからない」
と理解できない様子だった。
さらに、26日のツイートでは、子供は相変わらず観劇に関心がないとして、18年末にとりあえず劇団四季の公演とみられるミュージカル「CATS」のチケットを買ったと明かした。そして、「これで面白がらなかったらゆるさない」と書いていた。
結果として公の場でゲームをけなす形となったため、坂井教授のツイートには、疑問や批判が次々に寄せられる事態になった。
自らも子供とゲームするも、「寛容になれない」と悩む
「ご自分の価値観を押し付けようとする貴方の方が反省すべき」
「これはこども演劇嫌いになるな」
「娯楽や芸術のジャンルそのものに優劣などありません」
「ゲームに関わる人全てへの侮辱だ」...
このほか、
「ゲームもよいけどミュージカルはもっとよいぞ、と教えるべきでは?」
「子どもの発達段階に沿ったものを選んであげてほしい」
といったアドバイスもあった。
坂井教授が批判をブロックしたことなどもあって、ツイッターは炎上状態になった。その後、坂井教授は、6月28日までに自らのツイートを削除した。
ただ、研究者らのツイッター上の呼びかけには答えており、坂井教授自身も毎日、子供とゲームをしていると明かした。しかし、自身が変わるべきではとの指摘に対しては、「問われてます」と認めながらも、「寛容になれない」「ちょっと、大変」と悩んでいた。
「たんに言葉のくだらないやり取り」としながらも、「迂闊でした」
坂井教授は6月28日、J-CASTニュースの取材に対し、ツイートについて以下のように説明のコメントをした。
――なぜ「ゲームはクソ!ミュージカルが最高!」と子供に言ったのか
「たんに言葉のくだらないやり取りです。そもそも、もとの会話を、そのままツイートの文面にするわけではありません。とくに心配していただくようなことはございません。もともと文脈を共有する方に向けて書いていたツイッターですが、そうでない人の目に多く触れるようになった結果、今回の『炎上』が起こったのだと思います。これについては今後、想定する読み手を修正します」
――子供からゲームを取り上げるといったことはあるか
「そういうことはないです。ツイッターですから、深い意味はない。ツイッターが意味のある文章ばかりで構成されるべき、という考えは正しくないでしょう。私の友人はそういう冗談だと読むでしょうが、悪意をもつ人は何でも悪く読めるでしょうね」
――ネット上で出ている「好きなことに優劣はないのになぜ子供に押し付けるのか」といった疑問や批判の声についてどう思うか
「結果としては、迂闊でした。それとは別に、前提とされた『好きなことに優劣はない』は自明な主張ではありません。これは何が優れているか劣っているか、というのとは全く別の話です。たとえば『賭博好き』をどう考えるかは、カジノ建設の是非に関わることでしょう」
――ツイートはなぜ削除されたのか。異論をブロックしていることにも不満が出ているが、どう考えるか。
「そもそもツイッターは遊びです。うっとうしいリプライが多いツイートは削除しますし、関わりたくない人はブロックします。ごく当然のことです。ツイッターを国会の議事録か何かと勘違いしてはなりません」