「7時10分前」という言葉は、いったい何時何分を指すのか――。こんなテーマをめぐって、いまインターネット上で激しい議論が交わされている。
言葉は同じであっても、これを「7時の10分前」(=6時50分)と捉えるか、それとも「7時10分の前」(=7時9分頃)と捉えるかで、その意味合いが変わってくるためだ。さて、あなたはどっち派?
「7時10分前って何時だと思いますか?」
議論の発端は、なんと8年以上前までさかのぼる。口コミサイト「発言小町」に2010年5月、今回の「7時10分前」問題をめぐる書き込みが寄せられていたのだ。
投稿者は子持ちの主婦。ある日の朝、洗面所にいた夫から「今、何時ー!?」と尋ねられた。これに「7時10分前だよ」と返すと、夫は時間がないと大慌て。だがその後、急いでリビングに戻ってきた夫は、時計を見るやいなや、
「なんだよ!!まだ7時じゃないか!!」
と言い放ったというのだ。
つまり、投稿者は6時50分という意味で「7時10分前」と発言したが、これを夫は「7時9分頃」だと捉えていたわけだ。その後、夫婦は「自分の認識が正しい」とお互い譲らず、ちょっとした喧嘩に発展。そこで投稿者は、ネットユーザーに向けて、
「7時10分前って何時だと思いますか?」
との疑問を投げかけた。
こうした書き込みが、なぜか18年6月25日頃から「5ちゃんねる」上で注目を集めることに。投稿者と夫、どちらの認識に共感できるかをめぐって、いま8年越しの大激論が交わされているのだ。
「たしかによくよく考えると混乱する」
5chユーザーの書き込みを見ても、やはり「7時10分前」をどう捉えるかは真っ二つに分かれている。まずは「7時の10分前」(=6時50分)派の意見を紹介すると、
「7時10分より少し前って意味合いで7時10分前なんて言うやついない」
「もうすぐで7時10分になる時間を指して言うなら7時10分頃と言うわ」
「中途半端な時間を基準に~前とか言わないだろ」
などの声が目立つ。
一方、「7時10分の前」(=7時9分頃)派も負けていない。上記のような書き込みに反論する形で、
「いやこれ俺も旦那と同じこと思うわ 7時前でいいだろ」
「7時前が7時より前なんだから7時10分前は7時10分よりちょい前なんちゃう?」
「『7時30分前』なら夫の言い分のが正しく聞こえるし(普通はそれを7時半前と言うし) 『7時55分前』ならもう完全に夫側のほうが多いだろ」
との書き込みも出ているのだ。
さらには、「たしかによくよく考えると混乱するな」「7時がこの夫婦間でどういう意味を持つのかで変わる」「どこに句点打つかのイントネーション次第」などと、今回の問題を分析するユーザーまで目立ち始めている。
NHK放送文化研究所の解説は...
なお、「×時10分前」という表現については、NHK放送文化研究所が11年3月に見解をウェブサイト上で公表している。そこでは、
「時刻を客観的・時系列的に伝えるような場面では、原則として『8時50分』というような言い方をすることになっています」
と説明。その理由については、「×時10分前」という表現が誤解を招く恐れがあるためだとして、
「『9時10分前』は、大半の人は『8時50分』のことだと考えます。ところが、これ以外に『9時10分より少し前』(たとえば9時9分ごろ)という意味もありうるととらえる人が、少なからずいるのです」
としていた。