アルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナさんが、ロシア・ワールドカップ(W杯)の母国の試合中に悪目立ちしてしまった。
劇的な決勝ゴール直後、興奮のあまりか、ピッチに向かって両手の「中指を立てる」姿が中継で映ったのだ。
後半41分の劇的ゴール直後
FWリオネル・メッシ擁するアルゼンチンは2018年6月27日未明(日本時間)、グループリーグ第3戦でナイジェリアと対戦。1分1敗と苦しんでおり、決勝トーナメント進出には勝利が絶対条件という大一番となった。
アルゼンチンの試合でたびたびテレビに抜かれるのが、スタジアム観戦するマラドーナさん。86年W杯で母国を優勝に導いた英雄だ。豊かな表情とアクション、喜怒哀楽の変化が激しいその姿は注目を集め、マスコットのような存在にもなっている。
メッシが鮮やかなボールコントロールから先制点を奪った前半14分も、マラドーナさんの姿が中継映像に映った。立ち上がって両手を広げ、喜びを噛みしめるように天を仰ぐ姿は独特だ。1-0の同44分には安心してきたのか、思いきり背をもたれ、今にも眠りに落ちそうだった。
だが後半6分にPKでナイジェリアが同点に追いつくと、一気に緊迫感が増した。勝たねばならないアルゼンチン。怒涛の攻撃を仕掛けるも、決定機まで結びつかない。
後半35分には、グラウンダーのクロスにFWイグアインが中央でシュートを放ったが、ゴールのはるか上に。マラドーナさんは目を固くつぶって頭を抱えた。
事が起きたのは後半41分だった。右サイドのクロスからDFロホがボレーシュートでゴール右隅に突き刺した。苦しんだ末の劇的な勝ち越し点にアルゼンチンの選手・スタッフが一斉に駆け寄ってもみくちゃに。スタジアムもこの試合一番の熱狂に包まれた。
マラドーナさんの姿も映った。隣の男性と興奮したように抱き合う。すると、客席から身を乗り出したかと思えば、ピッチに向けて両手の中指を立てた。そのまま煽るように両腕を上下にゆすった。中指を立ててから1秒程度で、映像は別のカメラに切り替わった。
「国際問題待ったなし」「マラドーナなら別にええやろ感」
特に海外では強い侮辱を意味するこのジェスチャーは、日本でも物議に。インターネット掲示板では、
「これはガチで問題になる」
「国際問題待ったなし」
「あかんでしょ なんか処分下る」
などと問題視する書き込みが相次いだ。
一方で、無邪気さが残るそのキャラクター性からか、
「マラドーナなら別にええやろ感」
「マラドーナ今日もやってるなとしか思われない男」
など、特段の意図があったとは考えていないような意見もある。
さらには、86年W杯準々決勝でのマラドーナさんの「神の手ゴール」にかけ、「これは神の手」「神の手でてるぞ」「神の手が暴走してしまった」などする声もあった。
アルゼンチンは2-1でナイジェリアを制し、逆転で決勝トーナメント進出が決定。しかしまだお騒がせなことがあった。マラドーナさんは試合後、「病院に搬送された」と複数メディアが伝えたのだ。
すると11時すぎ、マラドーナさんは自身のフェイスブックを更新。「僕は元気だ。入院もしていない」と問題のないことを報告し、「ハーフタイムに首が痛んで苦しんだ。医師のチェックを受けたら、家に帰るよう勧められた。でも残りたかった。僕たちは戦っていたんだから。なぜあの場を離れられる?」と母国への思いをつづった。その上で「みんなにキスを贈るよ。支えてくれてありがとう!」とメッセージ。マラドーナ節は健在だった。