ロシア・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ(GL)第3戦で日本代表と戦うポーランド代表に「余裕で勝てる」と楽観論も出ているが、不気味なデータがいくつかある。
優勝候補と目されていたポーランドはまさかのGL敗退が決定。第3戦は「消化試合」と化し、モチベーションが下がっているのでは、とも考えられている。だが、過去のポーランドの成績、そして「ポット1」の国のデータを見ると、易々と勝ち点3を献上してくれるとは言い難い。
「僕らはトライしたが何もできなかった」
ポーランド(FIFAランク8位)はセネガル(同27位)に1-2、コロンビア(同16位)に0-3と連敗し、勝ち点はゼロ。日本(同61位)戦の結果を待たずにグループ3位以下が決まり、上位2国が進出できる決勝トーナメントに進めないことが確定した。
コロンビア戦後の26日、地元メディア「ファクト24」は主将でエースのロベルト・レバンドフスキ選手のコメントを掲載。「僕らはトライしたが何もできなかった。多くのことが機能しなかった」とチームワークの悪さを指摘し、「世界のどこにも、5人の相手を抜き去り、ゴールキーパーもかわしてゴールできる選手はいない。僕は味方に使ってもらって生きる選手」と、自身が孤立状態にあることも吐露した。
ガタガタのチーム状態に思えるが、「最後の試合(日本戦)では良い結果を得るために戦いたい。いくつかの点が改善できれば勝てるはずだ」とも語っており、日本戦に向けて戦意を失った様子はない。
日本はここまで下馬評を覆し、コロンビアに2-1の勝利、セネガルには2度リードされながら追いついて2-2のドローと無敗。勢いに乗っており、サポーターから「ポーランドにも勝って1位で決勝トーナメントへ」という声が沸々と聞こえてくる。
ただ、選手の能力などから見れば日本にとって格上であることは揺るがない。気になるデータも2つある。
ポット1の「勝ち点ゼロ」は20年ない
1つは、ポーランドはW杯で2連敗したあと第3戦で勝利するという流れが2度あったこと。02年日韓W杯では、共同開催国の韓国に0-2、ルイ・コスタ率いるポルトガルに0-4で敗れた後、16強に進むことになる米国には3-1で勝利した。
06年ドイツW杯では、南米のエクアドルに0-2、開催国ドイツに0-1と、こちらも無得点で連敗しながら、最後のコスタリカには2-1で勝利。「一矢報いてきた」歴史がある。
もう1つ気になるのは、「ポット1」の国の過去の成績。GLは出場32国を4国ずつ8組に分けるが、開催国とFIFAランク上位の8国はポット1として、バラバラの組に分けられる。GLでは第1シードのような扱いを受ける形になる(ポット1の決め方は大会によって若干異なるが、概ね出場国の実力上位7国+開催国になる)。
ポーランドも今大会ポット1ながら、2戦2敗の勝ち点ゼロ。だが、出場国が32となった98年以降14年まで、5大会のポット1の国(延べ40国)を見ると、「勝ち点ゼロ」で大会を去った国は存在しない。
最低は02年のフランスが記録した「勝ち点1」。また、「勝利なし」で終わった国は、02年のフランス(0勝1分2敗)、10年のイタリア(0勝2分1敗)の2国だけだ。ポーランドも、何の爪痕も残さずロシアを去るわけにはいかないだろう。
「余裕で勝てる」と浮かれる声もあるが...
今大会、他の組では第3戦が始まっている。その中で、ポーランド同様2戦までで敗退が決定したB組のモロッコ(FIFAランク41位)は25日深夜、優勝候補のスペイン(同10位)相手に2-2で引き分けた。枠内シュートはスペインと同じ3本。最後の1戦で意地を見せたのだ。
日本は引き分け以上で自力突破が決まる。ポーランド戦を控え、ツイッターでは、
「ポーランドはあの中じゃ一番カスだから正味突破は余裕だよ」
「こりゃコロンビアに完敗したポーランドにも余裕で勝てるだろう」
「めっちゃ楽観的だけど、ポーランドに勝てるかもしれない」
といった投稿が続々みられる一方、
「モロッコのように敗退が決まった国でも勇気を持って戦ってくる。ポーランドも普通にやれば勝てないチームであることを自覚しなければならない」
「ポーランド戦は一部選手を休ませても良いのではと思ったけど、昨日のモロッコを観て考えを改めます。敗退決まってても、誇りのために全力で戦うのがワールドカップ...!温存してる余裕はないな...」
との声も漏れている。