人気ブロガー「Hagex(ハゲックス)」さんが亡くなった。2018年6月24日夜、福岡市内の講演会場で男に刃物で刺され、殺害された。朝日新聞などが報じた。
04年から「Hagex-day info」というブログを運営。「三度の飯よりインターネットが大好きなネットウォッチャー」を自称し、ネットを騒がせた事件を独自の視点を織り交ぜながら紹介してきた。
ブログ記事は2万6000件超
福岡県警の発表や各種報道を総合すると、Hagexさんは24日夜に「ネットウォッチ勉強会」と題したセミナーに講師として登壇。その会場トイレで、ナイフを持った男に複数回刺された。首や胸など全身に刺し傷や切り傷があったという。
男は数時間後に市内の交番へ出頭し、殺人と銃刀法違反の容疑で逮捕された。「ネット上(のやりとり)で恨んでいた」「セミナーの開催場所を特定し、待ち伏せした」といった趣旨の供述をしているという。
Hagexさんがブログを開設したのは04年。まだツイッターも存在していなかった時代から、「2ちゃんねる」などの匿名掲示板の書き込みを通じて、独特の感性でネット社会を切り取ってきた。ブログ記事の数は15年間で2万6000件を超えている。また14年には、
「2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」(アスキー新書)
と題した書籍も上梓していた。
このように、「ネットウォッチャー」としてウェブ界隈の出来事を見つめ続けてきたHagexさんの訃報は、多くの関係者に衝撃を与えた。作家で個人投資家の山本一郎氏は25日のブログで、次のように悼んだ。
「散り際は無念だったろうし、彼のことだから心の中で『すいません』を連呼していたんじゃないかとすら思う。こちらも『惜しい人を亡くした』という惜別の念よりは『こんなところでくたばりやがって』という痛恨の思いのほうが強い。やりたいことも、やり残したことも多かったろうに」
はあちゅう「人となりを知りたかった」
「2ちゃんねる」開設者の西村博之氏もツイッターで、「ネット上でお互いに顔を知らない同士で揉めるのはあるけど、殺人事件まで行ったケースは日本では初めてな気がします」と驚きを露わに。また、Hagexさんと親交があったというウェブメディア「Buzzfeed Japan」の鳴海淳義氏もブログで、
「Hagexさんの印象といえば、『舌鋒鋭く、優しい人』(略)最近のネット炎上については、『みんなピリピリぴりぴりして叩いている』と危惧していた。正義のためを騙り、とことんまで叩きにいく人が増えているのではないかと」
と故人の思い出を振り返っていた。
また、Hagexさんがブログで繰り返し揶揄してきたブロガーのはあちゅう氏も、ツイッターで「嫌な人、って思ってたし、私は本人に会ったこと無いけど、死ぬのは悲しい」と一言。その上で、
「ハゲ子、ほんとバカだよな...。知らない人だけど。イベント来たんなら、hagexですってこっそり教えてくれたらよかったのに。どんな人だったんだよ。人となりを知りたかった。知らないし、喋ったことないから何も言えないわ。悲しい」
と偲んだ。同様にHagexさんから批判を受けてきたイケダハヤト氏も、
「hagex氏には一方的にdisられてたし、過去ログ漁ればぼくに対する誹謗中傷山ほどありそうだけど、だからといって執筆活動が原因で殺されてしまうのはあんまりだよなぁ...」
と呟いている。