日本の交渉戦略が問われる日
トランプ氏の標的にされている中国はもちろんのこと、EUやカナダ、メキシコなども米国の追加関税への報復措置を打ち出し、国際社会で「米国包囲網」ができつつある。一方、日本は「世界貿易機関(WTO)への提訴を検討している」(麻生太郎財務相)ものの、具体的な対抗策は示しておらず、腰の引け方が際立っている。
安倍政権は北朝鮮の拉致被害者の救出をトランプ氏に頼っているほか、サミットに合わせて開いた日米首脳会談では7月に日米の新たな通商協議を始めることを約束させられた。トルドー氏のようにトランプ氏を怒らせたくないのが本音で、トランプ政権の強引な通商政策にも沈黙を保っているのが実情だ。
ただ、秋に米国の中間選挙を控え、トランプ氏も日本に自動車や農業の市場開放を本気で迫ってくるのは必至。安倍首相がいつまでもあいまいな態度を続けていられる可能性は低く、日本の交渉戦略が問われる日も近そうだ。