北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が2018年6月19日に北京を訪れ、中国の習近平国家主席と会談した。両首脳による会談は3月、5月に続いて3回目で、かなりのハイペースぶりだ。今回は米朝首脳会談の結果を「ご報告」する目的だったとみられる。
米朝首脳会談の合意文書では、米国が主張してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な方式の非核化(CVID)」の文言が盛り込まれなかったとして、会談の国際的な評価は分かれている。ただ、中国はこれまでも北朝鮮側が主張する「段階的措置」に理解を示しており、今回の正恩氏との会談でも、習氏は「中国は首脳会談を高く評価している」と明言。非核化をめぐる中朝と米国の認識の隔たりが際立つ形で、北朝鮮の後ろ盾としての中国の存在感が増している。
「非核化実現の向けた前向きな努力をした」
父親の故・金正日総書記の時代を含めて、北朝鮮首脳の訪中が明らかにされるのは中国出国後が慣例だったが、今回は北京到着直後に中国国営メディアが報道。中朝首脳会談の内容も19日中に報じられた。国営新華社通信によると、習氏は「中国は首脳会談を高く評価している」と述べたのに続いて、正恩氏について
「(朝鮮)半島の平和維持と非核化実現に向けた前向きな努力をした」
と評価。
これに対して正恩氏は、米朝首脳会談について
「関係各国の利害と国際社会の期待に合致した、前向きな結果を残した」
などとして、
「もし双方が首脳会談での合意事項を段階的に着実に履行できれば、朝鮮半島の非核化は新たな、重要な局面を開くことになるだろう」
と発言。非核化は「段階的」に行うものだとする一方で、「完全」「検証可能」の文言が登場することはなかった。