ロシアW杯の初戦で最高のスタートを切ったサッカー日本代表。1次リーグを突破するため、次のセネガル戦では最低でも引き分け以上に持ち込みたいところだ。
だが、話はそう単純ではない。セネガルの初戦を見たサッカーファンたちは、ネット上で「めっちゃ強い」と驚き、専門家もその組織的な戦いぶりに「手強い相手」と評価。日本の苦戦は必至だとの見方が強まっている。
「日本は覚悟してかからないと」
ポーランド、コロンビア、セネガル、日本――。日本は1次リーグ・グループHの初戦でコロンビアに勝利、セネガルはポーランドを下した。双方ともFIFAランキング上位の格上を撃破した形だ。グループを突破するチームの顔ぶれは、最後の1試合まで分からないかもしれない。
英ブックメーカー「ウィリアム・ヒル」で、日本―コロンビア戦の勝利オッズは「コロンビア勝利」1.67倍、「日本勝利」5.5倍と設定。大方の予想は日本の圧倒的不利だったのだ。1次リーグ突破に関してもコロンビア1.36倍、ポーランド1.57倍、セネガル2.2倍、日本3倍と、下にみられていた。
日本はこのまま次のセネガル戦で勝利をおさめ、一気にグループ突破を引き寄せたいところ。ただ、彼らの初戦・ポーランド戦を見た日本のサッカーファンからは、ツイッターで
「セネガル対ポーランド見てるけど、セネガルめっちゃ強いなこれ」
「セネガル強いわ。ポーランドに仕事させない。これ日本も相当苦戦するのでは」
「セネガルはちょっとやばかった。強いわこれは。日本は覚悟してかからないといけない」
「日本勝利の喜びを半分忘れてしまった...。セネガルが強すぎて、青ざめた...」
など、既に次戦の相手を警戒する声が続出している。
具体的には一体、どう強いチームなのか。NHK総合でセネガル―ポーランド戦を解説したサッカー解説者・山本昌邦氏は前半終了後、
「セネガルの安定した守備、ボールを奪うところとゴールを守るところ、このバランスが非常に良い」
と評した。
相手エースに「仕事させず」
セネガルは前半から、アフリカ人選手特有のスピード感あふれるドリブルで相手選手を抜き去るなど、個々の高い身体能力で相手陣内に切り込んだ。一方、相手がボールを保持した状態で自陣に侵入すると、集団で一斉にプレスを仕掛けるなど、組織的な守備を発揮する一面も。攻守の切り替えも早く、相手エースのロベルト・レヴァンドフスキ(29)にまともな仕事をさせなかった。
「バイタルエリア(DFとMFの間のスペース)、要するにレバンドフスキがいるポジションにボールが入ってこなかった」(山本氏)
セネガルの中心選手は、英リバプールでプレーする主将のサディオ・マネ(26)だ。圧倒的なスピードで高い得点力を誇る選手だが、ポーランド戦ではノーゴール。だがそれは同時に、セネガルが「マネ不発」でも十分に強いと証明したことに他ならない。「セネガルの守備とマネの推進力は、怖さがある」(同)。
現地で解説を担当したサッカー指導者の藤田俊哉氏も「セネガルの組織力、この守備の強さ。そしてカウンターの速さ、非常にチーム力が高い」と指摘。「日本にとっては非常に手強い相手ですね」と話していた。
武田「△でも十分です」
サッカー解説者の武田修宏氏も2018年6月20日放送の「とくダネ」(フジテレビ系)に生出演。アフリカ予選で2試合見たことがあるとして、セネガル代表について「非常に身体能力とスピードがあります。ある程度、組織の練習もしています」と説明。守備面に関しては、
「ゆるいというか、しっかりとしていない。攻撃時に両サイドバックが高い位置を取る。柴崎(岳)選手のスルーパス1本とかで、チャンスになる」
と指摘した。
だが、グループHの勝敗表をもとに日本―セネガル戦の勝敗予想をしている際、番組アナウンサーから「○を入れていいですか?(編注:日本の勝利とみていいですか?)」と質問を受けると、
「僕は最初、アフリカの守備がアバウトなので、勝てるかなと昨日の試合を見たら、いや強いですね。△でも十分です」
と回答。要は、日本はセネガルに勝てると踏んでいたが、ポーランド戦をみて「引き分けでも上等」だと考えを変えたというのだ。
「なぜかというと、日本は10対11で87分、試合をしていますから。今度は11人の試合なので。そういう意味では非常に苦労するのかなと。10人に慣れていましたから」
「ウィリアム・ヒル」のオッズによると、セネガル戦の勝利オッズは「日本勝利」3.90倍、「セネガル勝利」2.00倍(引き分け3.30倍)。はたして日本は、相手選手の退場で約87分間、数的有利な状況で戦ったコロンビア戦のように、有利な試合運びをできるだろうか。